2009年03月12日

『風と共に去りぬ』 感想追記

前回の追記。

スカーレットの魅力を、上手く表現できていなかった気がしたので。


彼女は、長所と短所が完全に表裏一体となった、ブレない個性によって魅力的になっています。

「表」は、南部の因習を蹴飛ばし、強固な意志で激動の時代を生き抜いていくアメリカンヒーロー(女性ですが)。
「裏」は、「古き良き」南部の慣習や倫理道徳を蹂躙し、しかも利用して行く、人の心の解らない性悪女。

欠点である「裏」を取り除こうとすれば、「表」の成功はありません。
メラニーは完全無欠の萌えキャラですが、結局彼女を現実的に一番助けたのがスカーレット、と言うのはこれを見事に表すでしょう。
極端な話、スカーレットはメラニーが居なくても、泥をすすって生き延びる強さを持っていますが、逆の場合メラニーは生き抜けません。

そして、この二面性が、完全に機能しているというのがポイントです。
いわゆるツンデレなどと違い、(私はツンデレは大好きです!誤解無きよう)スカーレットの「ツン」部分は全く魅力的ではありません。
前のエントリーで、南部の大義に共感できる文章力を誉めましたが、それ故に、スカーレットの行動は実に不愉快です。
メラニーやアシュレイに対する態度など、我慢ならない鼻持ちなら無さがついて回ります。

しかし、彼女のそんな個性は、そんな個性故に、激動の「再建」時代に爽快な成功を導き、結果的に読者が好ましく思う人や土地を救う力となるのです。
何より、喪服でダンスを踊り、妊娠しても一人馬車を駆り、商売下手な夫の尻を叩き、営業力と数学能力で事業を拡大する彼女は、掛け値無しに「格好良い」んですよ。

こうして、読者は「古き良き」南部の価値観に対し、我慢ならない束縛と、友愛を基礎とする神聖な共同体と、二つの見方の間を行き来させられることになるわけです。(後者に偏ってしまっているのは否めないのですが)

とにかく、アメリカ的古典的萌えキャラを堪能するという意味でも、やはり一度読んでみることをお勧めします。

風と共に去りぬ

買わなくても、図書館に行けばどこにでも置いてありますし。

ちなみに私の予想では、女性はスカーレットに共感し、男性はメラニーに萌える事によって、この本は今でも愛読されてるんじゃないかと思うのですが、その辺どうなんでしょ?

タグ :古典読み物

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