2013年01月18日

胸がむかつくひどい話 『魔法少女育成計画 restart』 感想

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫) 魔法少女育成計画 restart(後) (このライトノベルがすごい!文庫)

↑表紙の可愛らしさがアップしている辺り、実に「解って」ます。


第1巻の感想はこちら

最近流行の「アンチ・魔法少女」物としてなかなか面白かった前作ですが、実は2巻を読む気はありませんでした。だって、あの胸くそ悪い話は本来続刊を作れるような物ではなく、むしろ続編を作ってしまっては興ざめだと思ったからです。
そして、その予想はある程度はずれていませんでした。

さて、ここで最初に書いておきますと、表題や↑に書いた形容詞等は、別に悪口ではありません。このシリーズは要するにホラーであり、可愛い外見のキャラクターというのはこれを盛り上げるためのギミック、つまりは悪趣味なオプションでしかありません。
しかし、ホラーというのはもともとそう言う「胸くそ悪い」「吐き気のする」ジャンルであり、この意味では誉め言葉となります。従って、胸のムカツキを抱えて嫌な気分で読書を終えた私の感想は、この手の代物が好きなゲロ野郎にはお勧めマークと同じ機能を果たすはずです。勿論、このゲロ野郎というカテゴリに、結局購入して読破した私が含まれるのは、言うまでもないでしょう。


と言うわけで、内容面での感想ですが、一行で表せます。

・真っ当な「ホラー映画の」続編。良さも悪さも全てそこに集約される。

と言う物。
読む前に予想したとおり、展開される世界観やゲーム内容に真新しさはなく、要するに予想の範疇に収まります。相変わらず可愛らしさが憎らしい巻頭のキャラ紹介をみた段階で、どのキャラが「強い」かどのキャラが「死に役」かは、ほぼ見えるでしょう。実際、最終局面まで生き残るだろうと思ったキャラも、早期離脱キャラもラスボス(仮)も、ほぼ予想どおりでした。つまりは、前回で「どう言うことがおきうる世界観か」と言うネタを割ってしまっている以上、展開の新奇性は失われているわけです。
一方で、これは前巻から大きな逸脱が無く、きちんと期待される面白さを提供していると言う事でもあります。タチの悪さも悪趣味も、前巻を気に入った人間なら問題なく堪能できるはずです。AMAZONレビューの点数が前巻より上がっているのは、つまりそう言う事でしょう。

これは、正にホラー映画の続編その物でしょう。モンスター・世界観の概要は既に観客に知られており、驚かせ・怖がらせとしてのパワーは落ちざるを得ない。一方で、ある種のお約束が観客と作り手の間で共有されるため、内容に対する安心感は確保される。要は、そう言う事です。

ただ、ちょっと納得のいかない部分が幾つかありまして、そのため前巻より評価を落とさざるを得ないと言う感想になりました。
上記のように、ちょっと能力の使い勝手が解りやす過ぎるというのもありますが、これはまあ容認できます。ですが、各人の能力の見せ場に大きな差があり、半数程度は単なる戦闘力として表現されているのは不満。前巻の「あ、その能力そう言う事かよ!」「確かに、それは!」と言った驚きは、面白さの中で大きなウェイトを占めていたわけで。
同時に、ゲームシステム的にもゴミアイテムの扱いとか、伏線として中途半端(もっと、誰でも使えるような意味があるのかと思ってました。システムはフェアに組まれてるはずなので、特定一名にしか活用できないというのはどうにも)で納得のいかない部分が散見され、精度が低くなっています。

そして、もっとも納得のいかなかったのが、ゲーム外部からの救済可能性が半端に提示されつつ機能しない点です。何しろ前作の主人公と言うワイルドカードがいるので、救済可能性は担保されているわけです。ところが、これがよく解らない理由(大部分を、魔法界の官僚主義、の一言で済ませるのは、前作同様余りに上手くありません)で遅延する上、結局パートとして意味が無くなっています。
結局、物語を終わらせるという意味では、あのパートは一切貢献していないわけで。オチを付けるというだけの目的であれば、幕引き役としてエピローグに前作主人公を出すだけで良かったはずです。

このため、目指されたのとは別の、「ご都合主義的に悲劇に持って行かれた」と言うような後味の悪さが漂ってしまいました。特に、最後の犠牲者については、シナリオ上の必然性がないのが何とも。具体的に言えば、ログアウトのタイミングを狙って主犯を殺せばいいだけの話ですから。
あの悲劇は、前作の「物語の幕を引くにはこれしかない」と言うような、悲壮な必然には繋がりません。
と言うか、折角平行させていた2つのパートが結局交わらないまま終わってしまうので、オーラスでの感動が湧いてこないのです。

とまあ、展開・シナリオ構成に瑕疵を感じてやや首を傾げたのですが、基本的には表題にあるとおり実にひどい(誉め言葉/悪口)ホラーであり、むかつく物語(同上)であり、良くできた続編です。
この手のゲテモノが好きなゲロ野郎は、下品な面を下げて思う存分堪能すると良いと思いますよ。とりあえず私は、良くも悪くも堪能させていただきました。




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この記事へのコメント
restart読んだならlimited読んだほうがいい
ここでやめるよりやめるなら次読んで判断した方がいいと思う
Posted by sunday at 2014年02月22日 04:33
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