2009年03月14日

北朝鮮の「人工衛星」の話

首相はじめ政府の皆様、それにネット上の国士様達が威勢の良いことを仰っていますが、基本的なところを。

「弾道ミサイル」と「人工衛星」の違いは、前者がすぐに落ちてくるのに対し、後者が理論的には「永遠に落ちてこない(落ち続ける)」と言うだけです。勿論、後者も空気分子等との衝突で運動エネルギーを失い、「いつかは」落ちてくるのですが。

従って、それが「失敗した人工衛星」なのか「成功した弾道ミサイル」なのかを、外部の人間が判断する方法はほとんどありません。
彼の国が人工衛星であると主張し、ルールに基づいて通知を行った以上、日本政府を含めて誰が何を言っても無駄です。


と言うかですね、前の「人工衛星」騒ぎの時にも思ったのですが、何故わざわざ「弾道ミサイル」だと言うことにしてあげるのですか?

相手が言うように、人工衛星だと言うことにしておいてあげればいいのです。
そして、「やーい、打ち上げ失敗してやんの、バーカバーカ!」と言ってやればいいのです。以前の騒ぎの時、北朝鮮は人工衛星の打ち上げに成功した、と発表しましたが、公式発表された帯域で通信が捉えられることはありませんでした。つまり、スプートニク一号の時の事を見れば解るとおり、人工衛星だとしたら失敗以外の何物でもないのです。

わざわざ弾道ミサイルだと言う事にしてやるから、北朝鮮が望むとおり、「成功」と言う事になってしまい、(「瀬戸際外交」の意味を考えてください!)国民は不安を感じ、彼の国に注目が集まってしまうのですから。

北朝鮮は、国家規模とは思えないほどケチで不合理な犯罪である「拉致」程度(許されないのは変わりませんが、核ミサイルを保有し世界第2位の陸軍を持ちながら全体主義に突き進む北の某大国などとは、比べものになりません)しか行えない、「危険だがしょぼい」国です。

我々にできる最も有効なことは、注意しつつも注目はせず、「大した事はない」と言う事実を認識して、小手先の外交術を粛々とスルーする事です。

同様に、わざわざ相手の手に乗って怒号してみせる政治家も、警戒した方が良いのではないかと思います。
威勢の良いことを言えば人気は集まるかも知れませんが、それは相手の脅威度を下げることにはならず、思惑通り存在感を押し上げてやるだけなのですから。



「日本の上を通過、認めない」=北ミサイルの動き批判-麻生首相

 言いたいことは解りますが、人工衛星は原則、軌道傾斜角以下の緯度にある全ての国の上空を通過します。打ち上げ失敗=落下の可能性は地球上ほとんどどこでも存在し、その可能性だけで批判しても無意味です。

 首相には、「北朝鮮が、平和的な宇宙開発事業に参入することを歓迎する。人工衛星打ち上げの成功を祈念してやまない。当日は、ラジオの周波数を合わせて待つつもりだ」程度の、ウィットに富んだセリフを吐いて貰いたかった所です。
 そして、「打ち上げ成功」(どうせまたそう発表するでしょう)後、「私のラジオには通信が入らなかった。きっと、漢字も読めない私のような馬鹿には聞こえない音楽が流されているのだろう」とでも言えば、北朝鮮と批判してきたマスコミ双方を蹴飛ばす、良い材料になったのではないかと思うのですが。



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この記事へのコメント
そりゃああなた、
我が宗主国様はテーブルの上で皿を鳴らして餌をねだるクソガキに飽き飽きなんですよ。

今やテロ支援国家ではなく、「アメリカの敵」ですからね。

衛星よりミサイルである方が都合が良いんでしょう、ミサイルである事実が。
Posted by アフリカのグラナダ神 at 2009年03月14日 22:30
どうなんでしょう。今の所、宗主国様も政府レベルの警告以上の事はしてないですし。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080115-899562/news/20090312-OYT1T00576.htm

ここの中段に書いてあるように、むしろ緊張緩和を求めるメッセージを送り続けてます。
実際問題、イラクからやっと手を引けて、アフガンを電撃戦で何とかしたい現在、極東に関わる余裕は無いので、余計な緊張は迷惑なだけ何じゃないかと思いますが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2009年03月15日 10:48
いえ、宗主国様は実際ブッシュ政権末期から本気で北朝鮮に敵視政策を行い、昨年の6月から「テロ支援国家指定」を止めて「ieepa」を発動しています。(上のリンクのブログに詳しいです。)
これは戦前の日本も受けた物で、今までとは比べ物にならない経済制裁を行うものです。
あのミサイルはその結果です。この方針をオバマ政権も変えていない所か、目の前で演習したり、閣僚に北朝鮮先制攻撃論者を入れたりしています。
クリ夫人も「北朝鮮はガタガタうるさい」と就任直後に言ったりして、敵意を隠していません。

実際には米朝二国間の関係は今までとは違うフェイズに移行していますから、共にいつものようなグダグダに見えてその意味は違うのでしょう。
ミサイルが二国間の鏑矢になる可能性は今までより圧倒的に高いでしょうね。
なぜかテレビはそれを知らないみたいですが…。
Posted by アフリカのグラナダ神 at 2009年03月16日 15:33
んー、私の認識の大前提は、「アメリカは経済的・軍事的に北朝鮮で火遊びする余裕は無い」なので、食い違ってくるんじゃないかと思います。
あと、追記に書いた、「北朝鮮はうざいけど、潰れられるのが一番困る」と言う逆説ですね。

なので、大統領令にしても、基本的にはテロ指定解除とセットにすることで、太陽と同時に北風の準備をちらつかせた、と言う理解になります。
アメリカは既に去年一部企業の資産凍結をしてますし、これ以上の経済制裁が現実的な脅しになるかというと、微妙かと思います。鉄も石油もアメリカ頼みだった、大日本帝国とは違うわけで。
Posted by snow-windsnow-wind at 2009年03月16日 18:13
「アメリカは戦争する余裕はない」と「北朝鮮はまああった方が良い」は間違いないでしょう。
どう見てもその通りです。

ただ実際の経済制裁の効力が、この二つに影響を与えるでしょうと思います。
北の不安定な政権の、中のバランスは経済制裁後から無茶苦茶です(外部に出てくる情報を見て)、私には二国間が最高に張り詰めている「ように見えます」。

まあ、二国間は4~8日までに外交でやれることやって、お互いに戦争を前提とした体制を整えるでしょうし、一日本人としては二国間の外交戦を見守って、楽しみましょうかね。
宗主国様がどこまでキレてるのかがミソだと思います。
Posted by アフリカのグラナダ神 at 2009年03月16日 23:17
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