2009年04月06日

幼馴染物語 『Stand by me,Stand by you』 感想

タイトルを「地獄の幼なじみもの」にしようとしたら、30文字制限に弾かれました。このblog、タイトルの文字数制限きつすぎると思います。

Stand by me,Stand by youの感想です。

ひまわりと言う同人ゲームで(一部では)有名な作者「ごぉ」氏による、WEB小説。ガンガンONLINEって、面白いことをやりますね。

内容は、幼なじみの幽霊と同居する主人公が、転校してきたロリ退魔師と交流して変わっていく話。
私、幼なじみと言う設定は好きかと問われたら、愛しておりますと答えたいくらい好きなので、この話のつかみはOK.
そして総合的に見ても、かなり魅力的な内容でした。

ちなみに私が物語を評価する基準は「いかに強く感情を揺さぶられるか」です。そして、今回喚起された感情は、別に怒りや憎しみではないので安心して下さい。評価は、間違いなく分かれる作品だと思いますが。

話の作りというか、学園という空間における排除の論理や人間模様については、こちらが言っているように、AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~の影響、あるいは類似が見られます。学園ものと異世界的設定(いわゆる邪気眼設定)のジョイントは、もう無邪気に描く事が難しい時期に来ているのかも知れませんね。

ネタバレをすると致命的な事になる作品なので多くは語りませんが、テーマと結末がきちんとリンクし、しかも青春・成長ものとして高水準でまとまっています。最終話でどんでん返しが多すぎてとっちからっているのは困ったもの(後述)ですが、引っかかるのはそこくらいでしょう。

特に、「抜けるような青空を見上げた時の虚脱感」とでも言うべきラストは、一見の価値有り。
ただ、前から何度か書いている「成長もの」の正統派作品ですので、読者に優しくないです。失うものと得るものの関係はかなりシビアで、等価交換とは言えない部分が多いです。

そして、この作品のポイントは、「かといって交換に応じなかったら、結局誰も救われない」と言う事でしょう。

物語の開始時点において、決定的な選択はなされてしまったあと。そこから幾ばくかのものを回収して歩き出したとしても、それ以前の悲劇や選択については、もうどうにもならないわけです。

この辺の物語構造は、FROMSOFTWARE 往年の名作エコーナイトを思わせます。同じ幽霊物ですし。

ただ、エピローグで出てくる最後のどんでん返しについては、この構造を根底から覆す可能性を持っています。問題は選択ではなく、それ以前の初期状態そのものだったのではないか、とでも言いますか。
クライマックスのどんでん返しで、どうしようもない悲劇は既に完成しているわけで、その上にさらにあの設定を重ねる意味は無かったのではないかと思います。
ここは、不満と言えば不満ですね。作者がこの作品でやりたかったのが、このとどめの一撃だとしたら、「合わなかった」としか言いようがないのですが。

ですが最初に書いたとおり、全体としてはかなり魅力的で、十分面白い作品です。

恐らく、このあと単行本にまとめるのだと思いますが(全7回で、文庫本700ページくらいの分量はあるはずですし)5/6までなら無料で全話読めますので、興味があれば一読してみることを進めます。

なお、読む際は、設定画面から「全画面」を選ぶと、小さめのモニターでも普通の文庫本を読むように読めると思います。ウィンドウモードだと、一々拡大して読む手間に耐えきれず、早々にリタイアしかねませんから。


8/14追記
いつの間にか、単行本が発売になっていたようです。

スタンド バイ ミー、スタンド バイ ユー。 (ガンガンノベルズ)
スタンド バイ ミー、スタンド バイ ユー。 (ガンガンノベルズ)

しばらく前から本屋に並んでいたらしいですが、全く気づきませんでした。
WEBで読んでいた人間にどうやって出版情報を届けるかが、この手の作品の課題になるみたいですね。




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