2009年04月28日

目先優先は危険  「時効殺人」賠償が確定=除斥期間適用せず

「時効殺人」賠償が確定=除斥期間適用せず-26年後自首の加害男に・最高裁

悪いことをしたんだから当然、と思いますか?
時効制度自体がおかしい・不要と言う意見もありますね。

ですが、考えてみて下さい。そもそも、この事件の真相が発覚したのは何故ですか?
時効制度というものが無ければこの事件は、単なる行方不明で終わっていました。

時効制度があったから、真実は明るみに出、遺体も見つかって遺族の元に帰れたのです。

これに除斥期間を適用するのは、事後法で裁くようなものなので、公正の面でも問題があるでしょう。

被害者感情としてこの訴訟が出てくるのは当然なのですが、そこは裁判所が汲んではいけないところだと思います。

新潟少女監禁事件の併合罪適用などもそうでしたが、ほとんど裁判所が法を作るに等しいアクロバットをするのは、決して誉められたことではありません。
特に、被告・被告人にばかりやたらと厳しいことで有名な日本の裁判所が……

感情にまかせて判決内容を決めるのでは、裁判ではなくて人民裁判です。

また、現実問題として、この件が大きく報道された以上、同じ事をしようという人間は居なくなるでしょう。
それは、本当に正しい・効率の良い事なのでしょうか?
事件が未解決のまま忘れられ、遺体が誰にも知られず土に帰る方が良いのでしょうか?


それと、時効制度そのものへの批判は、極めて危険なものがあります。

まずはコスト。
100年経ち、200年経ち、遺族も証人も犯人も死に絶えてなお、「未解決」ファイルの中に書類が残り、管理や照会の手間が生じるわけです。

現実的に考えて、20年かかって未解決だった事件が、それ以降解決するなどほとんどありません。時間が経てば経つほど、捜査は困難になるのですから。
それこそ、今回のように、良心の呵責が蓄積して、自首時のリスクを上回らない限り。

その手間とコストは、どう考えてもリターンに見合いません。


もう一つは、「容疑者」の保護。
あなたが例えば、25年前の事件の容疑者として逮捕されたとしましょう。
証言や証拠らしきものが提示され、警官が自白しろと迫り、また裁判に引っ張り出されます。
さて、あなたはどう言い返せばいいのでしょうか?

有名な話ですが、日本の刑事裁判の有罪率は99%。その運用実態は、「それでもボクはやってない」が欧米では観客にギャグ映画だとしか受け取られない(現実だとは信じてもらえない)前近代的状況です。
早い話が「無罪と証明しないと有罪」が現実です。

さて、25年前の事件で自分の無罪を証明するとして、一体どうすればいいのでしょう?

アリバイを提示する?
25年前、自分がその日何をしていたか憶えていますか?日記を付けていたとしても、そんなに残っていますか?

証人を探す?
自分が憶えていないことを、他人が憶えているでしょうか?
そもそも、その証人はまだ生きていますか?連絡が取れますか?
事件現場の近くに居た人間が、今でもそこにいる保証などありません。有り体に言って、不可能でしょう。

勿論人によって、3年でもきつい、と考えたり、20年くらいなら何とか、と考えたり、様々でしょう。
しかし、一定の年数で「時効」として理不尽な裁判が行われないようにすると言う制度は大きな意味があると、理解できるとおもいます。

実際問題として、大昔の事実や心理状態、動機を争うなど、マトモな形でできるはずがないのですから。


それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!
それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!
↑「それでもボクはやってない」のシナリオと、監督&裁判官の対談がセットになった単行本。これが新品品切れってどうなんだろう。

タグ :裁判社会

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