2009年05月22日

俺たちに翼はない ファーストインプレッション

俺たちに翼はない -Limited Edition-
俺たちに翼はない

PCゲームのレビューは、発売直後でない限り、ラノベのレビューよりもアクセスがないと言う事実は、BLOGを作ってみてはじめてわかる豆知識。
まあ、市場規模を考えたらさもありなむ、と言った所でしょうか。

と言うわけで、4ヶ月ほど前に出た「俺たちに翼はない」の、ファーストインプレッションです。なんだかんだで、「それは舞い散る桜のように」は面白かったですから。

また、この前やった、同作のシナリオライター参加の「ノストラダムスに聞いてみろ♪」が今一だったこともあり、正統な「次回作」っぽいこっちを崩しにかかった次第。


最近色々な所で見かけるシャッチョーさんについては、色々言いたいこともあるのですが、それはこちらの方に任せるとして、ゲーマーらしくゲーム内容に絞って書いていきたいと思います。

以下詳細。

まず、プレイを開始すると、公式ページにも掲げられているファンタジー小説の冒頭みたいな文章が、小節ごとに声優を変えて朗読されます。

これ自体は、背景が中世風の物と現代のものが交互に表示され、良くある文章の破綻もなく、なかなか期待を盛り上げる物になっています。

で、どのような話が始まるのかと思えば……
主人公は、(○○編という名が付いているので、物語が進めば入れ替わるのでしょうが)ファンタジー世界から転生してきた学生。まあ、邪気眼ではない本物ですね。
ただ、どうもこちらの世界に力は持ち込めないらしく、無難に生活することだけに汲々として、実に「リアル」な孤立学園生活を営んでいます。

客観的に見て、彼は学園のいじめられっ子なのですが、本人にはその自覚無し。わざとなのか自覚がないのか、パシリにされても嫌がらせをされても、笑って全てスルーしている、と言うのが初期状態。

まあ、本人が逃避ではなくもう一つの「現実」を持っており、現世のことを受け流している訳なので、同情も憤慨も筋違いなのは確か。
ただし、そんな光景を延々と見せられるプレーヤー、つまりこちらはかなりゲンナリした気分になってきます。

この辺は、ユメミルクスリの中盤辺りと同じですね。あっちと違って、被害に遭っているのがヒロインでなく、また状況への対応が間違っているわけではない(いじめを避けるつもりが主人公にないから。ユメミルクスリの場合、早期の対応を決定的に間違えて、いじめが悪化してしまう)分マシですが。

しかし、描写されるのが単純な「いじめ」ではなく、それを平気でやるようなメンタリティの持ち主、要するに「DQN」の会話なのが救いがたい所。
何が悲しくて、DQNの実にうざい日常会話を延々と読まされなくちゃならないんでしょうね?

それと、主人公も現世に執着がない分空気を読む気がまるでなく、非常に痛々しい気分になる描写が続くことになります。
正確には、空気を読もうとする場合もあるのですが、この場合は普段の訓練不足がたたり、また偉く不自由な会話内容に。なんか、悪いイメージとしての「オタク」カリカチュア状態ですね。見ていて愉快なもんではありません。「得意な話題だと、突然滑舌良くなるよね」(ヒロイン談)とか……

と言うか、主人公の扱いは、完璧に「かわいそうな子」です。主人公にいじめられてる自覚がない辺りが、特に。ほら、「アルジャーノンに花束を」で、主人公が「友人達」と過ごす序盤の展開。正にあれです。

ただ、DQNの中心人物については、面白そうな設定が付いていそうなので、後半でひっくり返る描写に期待したい所。決して悪いだけの奴ではないみたいですし。


ところで、相変わらず制服のデザイン、本当に酷いですよね?顔がハンコなのは、そう言う芸風として流すにしても、あれはさすがになあ…… 感覚に対する暴力だと思います。


ごく普通の教室の風景……?


それにしても、疑問なのはファンタジー世界の描写。オープニングから大仰に出てきている以上、主人公の妄想と言う事はないでしょう。向こうでの知識や経験は、きちんと主人公に見える形(格闘技等)で反映されていますし。
ですが、わざとらしいとしか言いようのないセリフ群といい、無意味に大げさなセリフやカットバックで挟まる第三者視点の皮肉な感想など、メタか妄想かしかあり得ない内容。


とまあ、一応まだ序盤なのですが、場面場面ではなく、全体として非常に「面白くない」と言う印象がぬぐえません。
会話を中途半端にリアルにしようとして失敗している、と言うのが一番大きいのではないでしょうか。

ギャルゲーの面白さは友人キャラの善し悪しで決まる、と言いますが、これは物語に緩急を付けるためと取るのが正しいでしょう。つまり、ヒロインとの恋愛というメインルートと、友人キャラに代表される息抜きのパートをどう組み合わせるか、です。
ところがこの作品、いわゆるヒロインらしいヒロインはおらず、友人・日常は変に「リアル」なDQN路線。どちらにしても、暮らしたい・疑似体験したいものにはなりません。結果、受ける印象はひたすらフラットで、しかも全く心地の良い世界ではありません。
勿論、心地よくない世界を描いて面白いものはいくらでもあるのですが、この作品の場合、対比で提示される幻想世界がわざとらしいまでに安っぽく、嫌なオチしか予想できないため、ストレスの逃がしどころがありません。

なので、ちょっとこのままだと期待できないかなあ、と言うのがファーストインプレッション。

一応、後半になると化ける、と言う評判は聞いているので、最後までやり通してみたいと思いますが。

特に、ヒロインが結構好感触に成りそうですし。これは、周囲が嫌なリアルさを醸し出す中で、ややアンリアル寄りな彼女に補正がかかって、魅力が大幅アップしているためかも知れませんが。


P.S.
主人公の家が、ドラえもんに出てくるのび太の家とうり二つ(左右は逆ですが)なのは、多分何かの暗喩。




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