2009年05月31日

介入準備 性暴力ゲーム規制強化へ、与党が流通歯止め検討チーム

性暴力ゲーム規制強化へ、与党が流通歯止め検討チーム

規制の委員会への上程を宣戦布告、閣議や総会に諮るのを総動員令とするならば、これは参謀本部の招集と行った所でしょうか。
そして、戦争は始まった時にはもう勝敗が決まっているもの。


この記事で重要な点はいくつかあります。

まず、

> 出席した野田消費者相は「子どもを守るバリアが日本ではきわめてルーズだ」と指摘。座長の山谷えり子参院議員も「日本のコンテンツ産業をさらに発展させていくにも、こうしたゲームで信頼を損ねてはいけない」と話した。

 座長は、この問題について極めて原理主義的な態度で有名な山谷えり子議員です。そして、支援を行っているのが野田聖子消費者担当相。いずれも、規制派の大物です。よって、注目すべきは、この「聞く耳を持たない」二人に、周囲がどこまで取り込まれてしまうか、と言う部分になります。

座長がこうですから、勉強会の結論など最初から決まっています。問題は、それに与党や関連省庁がとこまで賛同し、協力するかという点です。

現段階では、まだ彼らは何もできません。
「政治主導」と言うのは、継続性が極めて弱いのです。例えば、今度の総選挙で自民・公明が負けたりすれば、表現の自由をオモチャに火遊びをする余裕など消し飛びます。

ですが、先走って関連団体が自主規制を打ってしまったり、関連省庁が継続案件として取り上げたりすると、話は変わってきます。

そのため、記事の最後の部分が意味を持ってきます。

> また、自民党の会合に出席した経済産業省幹部は、パソコンソフト業界の自主審査機関によるこれまでの対応として、〈1〉問題の性暴力ゲームの販売中止を流通関係企業へ要請し、国内で購買はほぼ不可能になった〈2〉「陵辱系」と呼ばれる性暴力もののゲームソフトは製造・販売を禁止する検討を行っている――と説明した。

ここで重要なのは2点。

まず、経産省の幹部が出席し、報告を行っていること。これを受けて経産省内にプロジェクトチームが立ち、規制法案やガイドラインの策定を始めると、一気にきな臭くなってきます。
ですが、この報道段階では、どの程度深く関与しているかは不明。報道内容では、単に呼び出されて説明しただけにも見えるのですが……
しかし経産省は、メディ倫・ソフ倫の基準統一など、余計なことを主導しようとしているため、油断はできません。(もっとも、提言内容はあくまでもレーティングの基準統一と徹底であって、この勉強会のように、そもそも18歳以上が対象のものについて更なる規制を公言してはいません)

もう一つが、先日誤報ではないかという話が出たソフ倫の新規制について。
〈2〉の部分から、やはり「まだ実行に移していないだけ」であって、ジャンルをジェノサイドする気満々だと解ります。また、〈1〉の部分から、レイプレイの販売自粛を呼びかけ、自分でお墨付きを与えた作品・表現を、市場から抹殺しにかかったことが解ります。

つまり、ソフ倫は結局、業界や我々消費者の正当性を訴えて正面から戦う気は、全くないと言うことです。

やはり前回書いたとおり、このままではソフ倫に存在意義はないのではないでしょうか?

政治学には、「ビスコシティ」と言う言葉があります。これは「粘り強さ」「抵抗力」をあらわす言葉で、最終的に負けるかどうかとは関係なく、攻撃を仕掛ける側を躊躇わせるような力を意味します。
例えば55年体制下、日本の野党は一度も政権交代を実現できず、採決では一蹴される存在でした。しかし、野党各党は委員会や本会議で論戦を挑み、あるいは牛歩戦術や質問攻勢で議事を止める力を持っていました。
このため、例え相対的少数派であっても、穏便に法案を通すためには、一定の譲歩が必要とされました。これが、野党側の「力」、つまり「ビスコシティ」だったわけです。勿論この力は議席数に比例しますが、単に議席を持っているだけでは発揮できなかった力です。

同じ事は、社会の様々な場所で現われてきます。あるいは、もっとストレートに軍事でも。

おなじみ冬戦争でフィンランドは敗北し、ソ連に大幅な譲歩を強いられました。しかし、「最終的に勝ててもただでは済まない」事を思い知ったソ連は、衛星国としては破格の待遇をフィンランドに与えました。

女性団体、人権団体、マイノリティの代表団…… 彼らは一朝事あれば抗議活動でスクラムを組み、「我々に喧嘩を売ったらただでは済まないぞ」とアピールします。
何故そんな事をするかと言えば、そうしなければ、いくらでも踏み込まれ、最低限守らねばならないものを簡単に蹂躙されるからです。「弱者」とはそう言うものです。主張そのものの善悪など、何の意味も持ちません。

エロゲーという産業が拠って立つ、我々オタクの趣味嗜好の理解されなさは、こう言った団体より遙かに上です。ですから、業界を代表する団体は、激しく抵抗して見せなければ何の意味もありません。正面から戦っては潰されるだけ、と諦めて譲歩を繰り返してきたのが歴史ですが、もう産業自体崖っぷちの状況です。マイノリティが白旗を揚げて交渉のテーブルに着いた所で、行われるのは一方的な通告以外あり得ません。材料となる、抵抗力の裏付けがないのですから。

せめて一度は裁判を戦い、無原則で非論理的な規制に対して抵抗しなければ、産業そのものが消え去る事になるでしょう。と言うか、既に虫の息なのですから。
嫌らしいことも言えば、こう言う裁判は良い宣伝になるのです。レイプレイの販売自粛など阿呆なことを言わなかったら、どの程度売り上げが出たことか……

繰り返しますが、チャタレイ・四畳半襖・悪徳の栄えと言った、文学が裁かれた裁判は、いずれも文学側の敗北で終わっています。ですが、現在摘発事例はほぼ皆無です。同様に、松文館裁判での敗訴にもかかわらず、同じ程度に猥褻なエロ漫画は現在も問題無く流通しています。

むしろ、激しい抵抗が予想される事案と言う事がアピールされ、警察・検察は摘発に慎重にならざるを得なくなります。起訴して負ければ出世に響きますしね。

だから、現在の業界に必要なのは、「これ以上は譲歩できない」と言う線引きと、裁判を辞さない態度でしょう。これでソフ倫が規制を受けて立ち、違憲訴訟で寄付を呼びかければ、応じる人間は少なくないと思います。特に、現在の規制が最終的に目指しているのは、

>授業中、教科書の隅に軽くシャーペンを走らせるだけで「違法なもの」が作れちまう
人生オワタ劇場 - Hasumog

ような状況ですから、著名な文学者や出版関係者などにも証人として協力してもらえる余地があるはずです。
マルティン・ニーメラーの言葉に、少しでも感銘を受けてくれる人ならば。

とにかく、「業界団体も『良くない物』と認めている」などと言うプロパガンダに使われるのは明白なので、ソフ倫は戦略を変更すべきだと思います。
あるいは、メディ倫は規制団体がもう一つあることを示すべく、規制に対して反対の声を上げていただきたい。

仮にもコンピュータの発展と共に数十年の歴史を刻んできた業界が、抵抗も示さないまま追い込まれて消滅するのは、見るに忍びないです。

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