2009年06月10日

要するにこのレベルなんだ  松本徹三の「人権」論

コンプライアンスにかけては定評があり、社会に対して大いに責任を果たしていることで有名な、ソフトバンクモバイルの副社長様が、何やら今回のソフ倫の規制についてのたまっています。

私は田部大輔さんの意見に反対です。 - 松本徹三

「ソフ倫」の自主規制問題についての再論 - 松本徹三

規制論を唱える自称・常識人の皆さんの論理構造が良くわかるサンプルなので、取り上げてみます。我々の敵は、要するにこのようなレベルでしか物を考えていない人間であり、だからこそやっかいなのです。


>はっきり言わして頂けば、私自身にとっては、性暴力的な映像やゲームソフトの存在は不快であり、こういうものが自分の周りにいる(私が愛している)中高校生達の目に入る事は、極めて好ましくないと思っています。


まず彼は、徹頭徹尾今回の議論とは無関係な「青少年への影響」を前面に出します。
通常、規制という物は目的に応じた最小限にとどめるものです。目的効果論、などと言う専門用語を持ち出すまでもなく、バターを切るのに大砲を持ち出しても周囲に迷惑なだけ、と言う話です。

ですから、彼が青少年の影響を重んじるのであれば、ゾーニングを徹底し、最悪対面販売を強制する、と言うような方策になるでしょう。
ネット通販の場合は、代引きを不可にするなど(クレジットカード以上に強力な認証は無いでしょうから)できることは色々あるわけです。勿論抜け道はあるでしょうが、それはどんな物でも同じ訳です。

それ以前の問題として、今回の規制論拠として青少年への影響は、一切論じられていません。
イクオリティ・ナウはそう言う理由で批判を行っていませんし、ソフ倫もそんな事は一切言っていません。それを重要だと思うのは勝手ですが、今回の件とは何の関係もありません。


>従って、誰かがこういうものを制作して世の中に広めようとしているなら、それは「私自身の人権に対する挑戦」だと考えます。

大変です。彼にとって「人権に対する挑戦」とは、「自分にとって不愉快なことが世の中に広まる」事だそうです。
通常人権というのは、不快感などと言う曖昧な基準で制限されてはならない基本的な権利、の意味の筈ですが、彼にとっては逆のようです。
彼にとって、重要な「児童ポルノを禁止して守るべき人権」とは、監禁されてポルノの素材にされる少女のための物でも、親に傷つけられてケアを必要とする少年のための物でもなく、彼が世の中に対して感じる不快指数を減らすための物なのです!


以下、悪影響論について、殺人の描写はOKだが児童ポルノはダメと言うのが、論理にならない論理でつれづれなるままに書き綴られています。ですが、これはたった1箇所引用するだけで事足りると思います。


>私が申し述べた事は、ごく常識的な意見

彼は、文中何度も”規制すべきだ。何故なら私がそう思うから”と言う論理を繰り返しているのですが(と言うか、それ以外の論理が出てこない)その根源は、ここにあります。
彼にとって、科学的データも論理的整合性も必要ではありません。何故ならそれは「常識」なのですから。

これもまた、実に典型的です。
ちなみに、多くの人間から反論が来る段階で、その「常識」は普遍的ではないわけです。勿論、反論が多いことが間違っている事の証明にもなりません。ですが、だとしたら・だからこそ、科学的で論理的に整合性のある理論の提示が求められます。

そして、彼も一応それを展開しようとするのですが……


>「全く相関性はない」ということも証明されているわけではありません。「相関性が完全に証明されない限り、予防措置はとられるべきではない」というご意見には、私は賛同しかねます。


臆面もなく「悪魔の証明」!!
しかも、相関性「すら」証明されていない、と言う事を理解できないようです。相関性は極めて強いことが既に明らかだが因果関係は不分明、とか言う状態なら、疫学的見地から予防措置を講じる可能性は普通にあり得ると思いますが……

現在、ゲームプレイと犯罪行為の相関性を指摘できた研究は絶無だからこそ、規制論は批判されているのです。否定云々以前に、「そんな気がする」以外に、論拠など無いのです。アリバイに少しでも不明な点があったら、その人は犯罪者ですか?

それにしても、相関と因果の区別も付かずに、経営判断ってできるのでしょうか?
有名な例を改変すると、「犯罪が多い日はアイスが売れるから、犯罪動向を基準にアイスの生産量を変えよう!」とか言う判断をしかねないですよね?ああ、だからソフトバンクはあんなに…… とまでは言いませんが。


ちなみに、彼は京大法学部卒だそうです。
学校で学んだことはしっかり憶えておくとべきだ、今は下らなく思えてもいつか役に立つ時が来る、と言うのは良く言われることだと思いますが、多分真実でしょうねえ。と言うか、法学部を出ておいてこれでは、「私は四年間大学で何も学びませんでした」と、言っているようなものです。


とにかく、ここに典型的にあらわれているのは、

・規制派、あるいはそれに賛成する層の論理レベルは極めて稚拙である
・同時に、多くの場合、行動理念は本人の「常識」に依拠しており、突き崩すのが難しい

と言う事です。

割と絶望的な気分になってきますが、逆を言うと論理的な議論ができる相手は、説得も容易と言うことです。何しろ、印象論・感情論以外、彼らに武器はないのですから。

我々が、政治家なりメーカーなり業界団体なりに反対論を訴えて行く事に意味があるのは、このためです。
きちんと物を解ってくれる相手なら、我々の主張を理解していただくのは、そう難しくないと言うことです。
ですから、言論の内容を外面で損しないように、低い所からお願いする形で丁寧な言葉や文章で訴えることが、一番重要なポイントとなるわけです。

王様を欲しがったカエルさんがサンプル書式を用意して下さっているので、利用することをお勧めします。
ただし、固有名詞を入れ替えるだけのコピペはNGです。「ネットユーザー」と言うくくりは、これまたフォーマルな機関からは受けの悪いカテゴリーです。「コピペを使って爆撃された」などと言う印象を残さないためにも、自分の経験や普段の購買行動を交えるなど(例えば、そのサイトでどれだけ自分が多く関連商品を買って居るかのアピールなど)して、独自の文書にする事をお勧めします。



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