2016年09月02日

面白いのが一番!『ゴーストバスターズ』リメイク版 感想

ゴーストバスターズ 1&2パック [Blu-ray]
ゴーストバスターズ 1&2パック [Blu-ray]
↑旧作安いですねえ。確かに、今見ると色々冗長ですし、仕方ないと言えば仕方ないのですが……

何やら本国では色々ごたごたしているらしい、ゴーストバスターズのリメイク版です。もっとも、最近党派的な物言いが少々きつい(右派傾向を持つ若者への「悪口」レッテルを2つ並べて似ていると言われても、そりゃそうでしょ、としか……)人の言ってる事ですので、割り引く必要がありそうですが。

最初に自分の印象を書いておきますと、あのゴーストバスターズが女性キャストでリメイク!と言われた時は、何だそりゃまたフェミニズムでも何でも無い例の連中絡みか!?と思ったのは確かです。ですが、あの「ダメそうなおばちゃん4人が作業着姿で並んでる」プロモの絵面を見て、その場で懸念を撤回し、ワクワクしながら公開を待ってました。

要するに、「ダメ男4人組の幽霊退治コメディ」が、「ダメ女4人組の幽霊退治コメディ」になった時に、どんな新しい面白さが出るか、ワクワクしたと言う事です。

と言うわけで見てきましたので、いつもどおり結論から書きます。


要約:
面白い!男女を逆にしたことで、滅茶苦茶魅力的な馬鹿キャラが誕生し、素晴らしいコメディになっている。
しかし、肝心の4人組はやや期待外れ。もっと上に行けたはず。


では、解説していきます。
まず、コメディとして非常に良くできています。これは、丁寧に織り込まれたパロディや、旧作へのオマージュ、原作と同じ方向性の馬鹿ガジェット類と言った小ネタ、そして何よりケヴィンという「最高の馬鹿キャラ」のお陰です。

このケヴィン君、マッチョの白人のイケメンという、三拍子揃った主人公風キャラなのですが、とにかくバカで間抜けで役立たずです。要は、巨乳のブロンドキャラ類型を男女引っ繰り返した存在なのですが、動作から言動から行動から、何から何まで動いているだけで面白い(馬鹿なので常に予想の斜め上を行く行動を取り続ける)、画面にいるだけで笑いが起こる存在に到達しています。
正直、ケヴィンの言動とケヴィンの行動とケヴィンの所作だけで楽しめるので、他が霞むレベル。いや、書いたように、他の細かい部分も結構丁寧に作られてるのですけどね。

しかし、このケヴィンに食われたというか、主役4人は正直「合格点程度」のコメディキャラに留まってしまっています。ドイツ人テッキーのジリアンは、キル・ビルアクションを含めて非常に良い味を出しているのですが、他3人はよろしくありません。主人公のダメな所はケヴィンに惚れる所ですが、そのネタはなおざり。アビーはワンタン位しかネタが無く、おかげで悪霊に取り憑かれた時も今一面白くなりません。毀誉褒貶激しいパティも、折角一番図体がでかいのに怪力ネタがあるわけでも無く、中途半端。あと、劇場地下でのアクションは、余りに動きにキレがない(運動神経が悪いと言うか、動きが鈍い、と言うネタにもなっていない、様にならない動きです)ので、ちゃんとリテイク出すなり事前に練習して欲しいと思ったレベル。ただの萌えキャラかと思ったらすげえアクションを披露してくれた、キックアス(感想はこちら)のヒットガールまでは行かないまでも、芝居として見苦しくないレベルには行って欲しいです。

何故こんな事に成ってしまったかと考えると、上記記事で指摘されているようなのとは別の意味で、フェミニズム・ポリティカルコレクトネスが作用してしまったんじゃないかなあ、と思う次第です。

どう言う事かというと、ケヴィンという「マッチョ・白人・イケメン」と言う一見して強いものであれば徹底的に馬鹿にしてネタにしてこき下ろしても構わない、しかしイケてないおばちゃん4人組を同じように扱うのは『正しく』ない、と言う判断が働いてしまったんじゃないかなあと。GamersGate とかあの辺を見ていると、あながち間違いじゃないのではないかと思います。

そして、これは極めてF○CKです。ふざけてます。そんな事どうでも良いから面白い物作れよ!!としか言い様がありません。

はっきり言って、もっともっと面白くできるんですよ、このネタ。ケヴィンなんて言うアホに惚れる主人公はまぎれもなく「馬鹿」なのですから、そこを誇張しないでどうするんでしょう?あの馬鹿に言い寄って全然理解されないとか、口説こうとして空回りするとか、その程度の描写もありません。大体、中途半端なチョーカーへの突っ込みを入れる位なら、「年甲斐もなくボデコン(ゴスロリでもフリフリでも痛ければ何でもよろしい)スタイル」程度の「痛さ」は入れて欲しい。オタクが出てくる映画で定番の童貞ネタも、引っ繰り返して高齢処女ネタにするだけで、十二分に面白いシーンができるはずです。
と言うかですね、「ダメな男ども」をわざわざ「ダメな女ども」に変えたんですから、「女性キャラ」であるが故に痛くなるネタをやらなければ意味が無いんですよ。何?それは女性を馬鹿にしてる事にならないか、ですって?馬鹿な女性を描く事が女性を馬鹿にする事になるのなら、馬鹿な人間を描けば人間を馬鹿にした事になり、つまるところコメディなんて描けません。コメディ定番の医者や軍人や警官や政治家は馬鹿にしてOKだけど、女性やマイノリティや底辺職業は馬鹿にしてはいけないというのなら、それこそ差別ってもんです。
と言うかですね、女性に対する描写を「手加減」した結果、吹っ切った描写のケヴィンが美味しいところを持って行っているわけで、むしろ女性に不利に働いてるわけですよ。主人公なのに、ネタにされるという特権を十分に発揮できず、男性キャラに奪われてるわけですから……

以上のように、とても面白くて是非色んな人に見て欲しい作品なんですが、画竜点睛を欠く事の原因を考えるに、やっぱり文化戦争の根は深いなあと溜息を吐いた次第です。コレクトネスに痛めつけられた貧困白人層の怒りがトランプ現象に帰結したり、この期に及んで他人をぶったたく事ばかりに汲々としている日本の左派の問題と言い、いい加減本来の自由主義を遵守して現実とフィクションを切り分けて論じられる環境を取り戻さないと、それこそ現実にもフィクションにもろくな影響を及ぼさないんじゃないかと思います。


当BLOG内の、映画関係記事はこちら






タグ :映画

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