2009年06月25日

「反日」がNGワードになる理由 児童ポルノ問題

審議入りは明日になり、各所でメール・手紙による関連議員へのアプローチが呼びかけられています。
特に、鳥山仁さん、カマヤンさんは、具体的な書き方を提示してくれているので、書く前に一読することを勧めます。

ただ、ちょっとこれは危険だと感じた内容がありましたので、そこだけ注意させて頂きたいと思います。

それは、鳥山仁さんが書いている「反日」と言うキーワードです。
リンク先エントリーで彼はこれを「事実は事実なんで変えるつもりは全然ナッシング」と言っています。ですので、あれを読んで手紙を書く人は、この言葉を使ってしまう可能性が高いでしょう。

しかし、「反日」と言うキーワードは、手紙・働きかけの場で用いないほうが良いです。

何故か?

・「反日」はネットスラングに近い、印象の悪い言葉であること
・スタンスを誤解され、事実がぼやけてしまうこと

の二点が理由です。

まず一点目。反日という言葉は、ネットの外においては、街宣右翼か歴史の教科書でしか見ません。前にも書きましたが、「ネットの連中がまた騒いでいる」と言う風に見られれば、働きかけの影響力は大幅に落ちてしまいます。

また、鳥山仁さんの指摘する個々の事実は事実として、その事実に「反日」と言う言葉を当てはめる事は、一般人はまず行いません。

一般市民(つまり、多数派)から危惧や反対意見が寄せられてはじめて、議員として、党としての対応が出てきます。
多くの市民団体は、何も言葉の趣味で「市民」を入れているわけではありません。「自分たちこそ一般市民の意見を代表している」「間違っても、少数派・特殊な価値観の団体ではありません」と、そう名前で主張しているわけです。
同様に我々も、間違っても「ネットで騒いでいる人間」などと言う特殊カテゴリでくくられないよう、注意しなくてはなりません。
そして、「一般市民」として意見を書く時に、「反日」と言うキーワードは素性をばらすNGワードとなります。

また、野党各党は、過去何度も「反日」と言うキーワードで罵倒されてきています。その言葉自体に悪印象があります。(そう言うキーワードを添えてメールや電話をした方の記録は、ネット上にいくらでも転がっています)
そのように「本来自分たちに敵対的な人間」からの訴えは、無視されます。この問題について言うことを聞いたとしても、他の問題で罵倒してくる相手なら、どうせ票にはならない。それが、普通の判断でしょう。
お願いのメールとはつまり、「この立場を取ってくれたら、投票します」と言う取引依頼に他なりません。「最初からうちに投票する気のない人間」と見られれば、効果はたちどころに消え失せます。

逆を言うと、自民党の議員に訴えかける場合であれば、この言葉を使うリスクは低くなるかもしれません。


そしてもう一点が、スタンスが誤解されること。
「反日」と言う言葉を相手に投げかける場合、投げかける人間は自分をどう定義するでしょう?「右翼」や「左翼」を使う場合は「中道」だと思っているでしょうが、大体において文脈上「反日」はストレートな蔑称です。
となると、自分を「愛国(日)」と定義した上で使っている、と思われるのは当然でしょう。実際の使用例も左翼(あるいは、蔑称としての「サヨク」)を批判する時が多いです。

ですが、「愛国心は悪党の最後の隠れ蓑」と言うような話は置くにしても、この言葉はとても的外れな言葉です。APP研も自民党も、少なくとも彼らなりに「日本を良くする」ために動いています。「良い」に含まれる価値観や前提とする事実の解釈が、我々と決定的に異なっているだけで。

今回の問題は、最初から価値観が前面に押し出された宗教戦争に近いわけですが、そこに的外れな愛国/反日、もっとストレートに右翼/左翼と言う軸を持ち込んでも、認識がおかしくなるだけです。

特に、今回反対の先頭に立っているのが社民と共産であることを忘れてはなりません。彼らに、愛国者/反左翼として法案に反対してくれている、などと言ったら憤激するでしょう。今回の論争は、右翼と左翼の戦いでもないし、愛国者とそうでない者の戦いでもありません。と言うか、そんな1ビットの識別子で割り切れるような対立など、普通ありません。

極右と言われるNRAとリベラルの代表格である全米図書館協会やACLUが、政府の規制に対して並んでデモ行進を行う。「自由」(表現の自由は代表格)を巡る論争というのは、そう言う事が普通に起きる場です。


ですから、敵にも味方にも右から左各種取りそろえた状況に、ふさわしくない言葉の使用は慎むべきです。我々の味方が右から左まで揃っていると言う事実は、大きな強みなのですから。


とにかく、言葉に付いてしまっているイメージというのは、軽視すべきではありません。
例えば、「粉砕!」と言う言葉を見た瞬間に、「ああ、左翼のアジビラね」と判断して読むのをやめたという経験はありませんか?
あるいは、「WEB2.0」と聞いた瞬間に、「ハイハイ、中身のないWEBサービスの宣伝ですね」と話半分の聴取態度に切り替えるとか。

以上まとめれば、要するにこれだけの事です。

「平易な言葉で、普通の話し方で、丁寧に手紙を書きましょう。仲間内・一部にしか通じないジャーゴンやスラングは、フォーマルな場で使うべきではありません。特に、過激な文脈で使われるものは」





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この記事へのコメント
はじめまして
この問題にはいろいろ考えさせられています、別の意味で…

>鳥山仁さん、カマヤンさんは、

…お二人とも見識・行動力とも十分な方たちなのに、なぜ犬猿の仲なのでしょう?
政治活動において、いやあらゆる運動や組織において内ゲバは百害あって一利なしです
シンパは引くし、一般層からは白眼視されます
かつての全学連や原水禁・原水協が内ゲバの果てにどうなったか、知らぬお二人ではないでしょうに…
(このままでは、お二人もその道をたどるのではないかと不安です)

あるいは、外敵に牙を向けて戦う道を選んだものは、内部にも容赦なく牙をむけてしまうのが性(さが)なのでしょうか
最後には内憂外患の果てにすべてを敵に回し、戦い疲れて倒れる、それがわかっていても避けられぬ宿命なのでしょうか…
Posted by 流れ者 at 2009年06月28日 21:05
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