2009年07月03日

制作者、原作嫌いでしょ?「ふたつのスピカ」 実写版第3話感想

前話までの感想はこちら

前回までが原作レイプだとするならば、そろそろ強姦致死くらいまで行きそうです。
弁護士ができるもっともマシな戦術は、殺意の否認だけというか……

プロデューサーが撮影が進むごとに役者が上手くなってきて…… とか言ってましたが、それっていつまで待てば見れるんですか?府中野君とシュウが多少マシで、後は完全な棒読み。一話から変わっちゃいません。

さて、面倒なので以下、感想を箇条書き。


・ケイだけ実習に参加できないって展開は、必要ですか?

友情物語としても中途半端だと思いますが。そもそも、完全に別れ別れになるまで、五人チームが育っていくのが眼目だったのに。
それに、カメラが好きで観察眼に優れるケイが、冷静な府中野とコンビでオペレーターを担当した方が、絶対ドラマとして見せ場もできたはずですよね。


・ロボットが行けばいいじゃん

同じ事故から違う教訓を引き出したロボット技術者の話は、原作でもできの良いエピソードでした。
ですが、ドラマではライオンさんがいない(=幼少期にエピソードがジェノサイドされている)ため、アスミの「宇宙に行きたい」という思いは薄っぺらです。だから、桐生の重い言葉にアスミは対抗できません。「夢だから」と言うセリフはそのままですが、原作と違って、あの言葉に乗せるべき思いがないのです。だから、「このガキ馬鹿なんじゃないのか?」と言う感想しか出てこない絵面になるわけで。


・アスミってできが良いの?

「英語以外ほぼ満点」は原作通り。しかし、原作では繰り返し見せていたアスミの優秀性は、ドラマではまるで伝わりません。むしろ、ケイと同レベルであることばかり強調されています。おかげで、これもまるっきり説得力のないエピソードに早変わり。
原作では複雑な思いを抱えた大人の一人だった体育教師が、実習中に「機械は解らない」とか言い放つ馬鹿になっているのと同様、酷い改悪です。
だから、こう言う風につじつまが合わなくなるから、原作を無意味に変えるなと。あるいは、変えるなら徹底的に変えて「原案:ふたつのスピカ」にしておけと!


・トモロウ弱すぎと言う事から端的に解る、脚本の弱さ

娘に愚痴をたれるような弱いキャラでは興ざめです。と言うか、セリフにするな!
上記のアスミのセリフにしても、トモロウの態度にしても、無言または少ないセリフに万感の思いを乗せる力が、ドラマの脚本には全くありません。おかげで、ぐちぐちとセリフだけを連ね、見苦しいキャラばかりになってしまう。
これでは、次回から表に出てくるであろう獅子号墜落の真相にしても、佐野先生に食われて終わるのではないかと。
佐野先生とトモロウは、共に道を外れていながら見ている場所は同じだったと言う事が、一番の勘所なのですが。


・アスミの最後のセリフの酷い矛盾

「死ぬつもりはない」と言うのが重要なのは、真実です。宇宙飛行士は死んではいけません。生きてデータと経験を持ち帰らねばならないのは勿論ですが、政治の世界が絡んでくるからです。
人死は、致命的な批判を呼び起こします。特に、日本においては。有人宇宙飛行技術を開発したとして、途中で人死が出たら計画続行はできなくなるだろう、と言うのは、繰り返し言われてきた事です。
だから、無茶をして怪我をしたアスミは、絶対に開き直ってはいけないのです。府中野や桐生のセリフに、反論するのは許されません。
客観的に見ても、自らのミスで訓練をぶち壊しにし、現場だったら計画中止、もっとも良くても工程に致命的な遅れを及ぼしかねない事をやらかした彼女が、偉そうにあんなことを言う資格はないのです。
あれでは、アスミは本物の無能です。

ドラマはたった七回ですから、本来訓練の仕上げに近いこのエピソードを持ってくるのは無理があったのかもしれませんが。


・だから、ガガーリンのエピソードは美談じゃないだろうと

ガガーリンが選ばれた理由、「笑顔が良かった」は正確ではありません。「宣伝塔として見目が良かった」が真実です。つまりあれは、努力や諸々とは無関係に、政治の影響から逃れられない宇宙開発の哀しさを示すエピソードです。
しかも、ガガーリンのライバルが「本来」選ばれた理由が「体重が軽かった」。これはつまり、ドラマの脚本家が原作に喧嘩を売っていると言うことですよね?それ以外の何ですか?
「背が低い」よりも「美人」の方が良いに決まってるよね、って訳ですか…… 少なくとも、「ふたつのスピカ」を原作に掲げた以上は、絶対にやってはいけない脚本でしょう。最低限の敬意すら、払う気はないのですか?


次回予告で、佐野先生が政治家に食ってかかる場面だけは見てみたいと思いましたが、なんかもう色々とどうでもいい気分です。
きっとドラマの制作者は、原作が嫌いなんでしょう。あるいは、馬鹿にしているのかもしれません。それで面白いものができてくるなら別軸で評価もできるのですが、(押井監督のパトレイバーとかね)喧嘩を売るだけ売ってできてくるのが屑では、救いようがありません。

思わず、「死ねばいいのに」などと口走りそうになりました。


ふたつのスピカ 15 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
ふたつのスピカ 15 (MFコミックス フラッパーシリーズ)

原作15巻は、物語上非常に重要な要素を描きながら、今一盛り上がらないまま淡々と描かれていました。
ただ、この巻は最終刊に向けての「ため」に相当する部分ですから、こんな感じで良いのではないかと思います。
完結は、10月ですか。



他の回の感想を含む、ふたつのスピカ関連エントリーはこちら






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