2009年07月06日

涼宮ハルヒの憂鬱14話 「エンドレスエイト」(その3) 感想

涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)
涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)

先に最も重要なことを言っておくと、まだ「エンドレスエイト」は続きます。
なるほど、繰り返したループがあれだけ積み重なっている状況なら、いくらでもアニメオリジナルができるわけです。元々原作はタイムスケジュールがギチギチに詰まっており、アニメにする場合オリジナルを入れる余地が無い事が問題でした。それをこう使うのかと、素直に関心。

また、前回も書いたように、「消失」における長門の暴走に向けて伏線を張る意味でも、このエピソードは最適なわけですし。

また、この作品について言えば、アニメヒット後の数年間で、視聴者のほとんどは原作を読んでいます。しかも、放映順シャッフルなどと言う搦め手を既に使用済。従って、期待される意外性を演出するのも、アニメならではの描写を入れるのも、極めて難しい状況にあったわけです。
だから、このエンドレスに続くエンドレスエイトは、極めて上手く視聴者の期待に応えたと言えるでしょう。
何しろ、今回もバンクシーンは存在せず、全く労力の節約(または手抜き)にはなっていないのですから。

と言うわけで、淡々と描写される「変わらない日常」について個々の雑感。



キョンの妹が宿題をやって居る時の仕草は良いですね。これ、私も昔良くやって居て怒られました。冷房が入っていると、足下だけ寒くなるんですよね。



ところで、彼女が何をやって居るかは割と謎。教科書を広げてノートに書き込みをしているにしては、(ドリルと「夏休みの友」でもいいですが)両方とも絵ばかりのページに見え、不自然です。まさか塗り絵ではないでしょうから、模写でもやって居るのでしょうか?



一方、今回SOS団の衣装は大人しめ。
とは言え、ハルヒがワンピース&帽子のまるで似合わない清純派ルックなのが笑えます。
あとこうしてみると、毎回変わらず制服を着込んでいる長門の姿は、ただ一人記憶をもって自覚的に同じ時間を繰り返している彼女を象徴する、良い構図になってますね。これも、原作ではできない、アニメならではの描写でしょう。



そして、今回一番当たっていたと思うのがこのハルヒの目つき。
「一度しかない高一の夏」にかける思いを握り拳で語っている場面ですが、目つきと声の切迫性が、背後に潜む強迫観念を透けて見せています。
ハルヒは基本的に安定した人格を持っていますが、ループを重ねる度にこう言う描写を増やしていく事で、危うさをアピールすると言う意図だと思います。

この場面以外でも、ハルヒの遊ぶ姿は楽しんでいると言うよりも「楽しむために必死になっている」と言う風情です。特に、カラオケのシーンが顕著ですね。もう、色々と一杯一杯だからこその、膨大なループになるのでしょう。



12話の時に比べてはるかに浴衣が似合っているのは、繰り返されたトライ&エラーの効果なのでしょうか?

一方、今回キョンがデジャビュを感じる場面が増えているのですが、この辺にエンドレスエイトが続いてしまった原因がありそうです。
つまり、前回書いたように、ハルヒは何度も八月を繰り返し、満足できる(キョン達が満足してくれる)夏を求める。そして実際、浴衣の見立てのような技術はレベルアップしていく。
一方、キョン達は繰り返される八月の記憶の断片が積み重なることで、素直に夏の行事を楽しめなくなっていく。これは、完全な泥沼化です。



この辺も、ループで鍛えられたのでしょうか。バイトらしい格好の上に、妙に似合っています。



勿論、一番重要なのは軋みを上げる長門の心。と言うわけで、三人が前回と同じ会話を繰り広げる中で、背を向けたまま顔を下に向けている彼女の姿。この場面は、何よりも饒舌に、その限界が近いことを告げています。


ただ、12話と13話はきちんと違っていたのですが、この14話は13話と完全に一緒。長門を除いて、セリフもほとんど変わりません。
また、原作では15498回目に抜けた筈のループがまだ続行。先が見えないと言うこともあって、間違い探しだけではなく、もっと解りやすい変化(特にラストのキョンの引き留め失敗部分で)を、出しておくべきだったのではないかと思います。

さすがに、このペースで全26話までやられたら、面白いと言えば面白いですが文句の一つも言いたくなりますから。
ただ、あと1回で終わるかというと、かなり微妙ですよねえ。
あと2回で終わるなら、ギリギリ許せるかなあと言う感じですが。

なおこれについて、スタッフの競争・異なる表現の試みという観点を指摘したBLOGがあったのでリンク。制作側に焦点を当てると、なるほど説得力があります。


その他のハルヒ関係エントリーはこちら







同じカテゴリー(アニメ・映像系)の記事画像
「HELLSING X 上映イベント」に行って来ました
アニメ PSYCHO-PASS #06 「狂王子の帰還」 感想
アニメ版「リトルバスターズ!」 第6話感想
アニメ PSYCHO-PASS #05 「誰も知らないあなたの顔」 感想
アニメ PSYCHO-PASS #04 「誰も知らないあなたの仮面」 感想
アニメ版「リトルバスターズ!」 第5話感想
同じカテゴリー(アニメ・映像系)の記事
 意志決定の機会を与えられない物語『この世界の片隅に』 感想 (2016-12-07 00:00)
 「作家性」とは歪さと見つけたり/『君の名は。』感想 (2016-09-08 00:00)
 面白いのが一番!『ゴーストバスターズ』リメイク版 感想 (2016-09-02 01:00)
 素晴らしい、そして欠点だらけの怪作 『シン・ゴジラ』感想 (2016-08-04 00:00)
 これはダメな映画では? 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』感想 (2015-07-10 00:00)
 酷いなこりゃ 映画版Steins;Gate 『負荷領域のデジャブ』 感想 (2013-05-02 00:00)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。