2009年07月24日

こんな大人になってはいけません 葉梨議員のコラム

コラム : 児童ポルノ禁止法改正・ここまで合意していた~自公民実務者協議の内幕


前の記事で突っ込んだコラムに続き、自民党の葉梨議員がまた自分のコラムで好き勝手なことを言っています。

まず、これを読む前の前提として、

衆議院の審議録画ページから、6/26の法務委員会を選択し、彼の言動を見てみましょう。
なお、ニコニコ動画にも上がっています


また、毎日が飛ばし記事を書いた「修正合意」については、当の枝野議員がオープンミーティングで否定していると言う点に注意して下さい。


では、内容を見ていきましょう。


でもまあ、記事最上段に、いきなり

>与党児ポ法改正PT・右はアグネスさん

などと言うキャプションの付いた写真が載っている段階で、お里は知れます。アグネスさんは、修正協議と何の関係もないんですが?そもそも、改正プロジェクトチームは、今回の修正協議より遙か前ですよね?

これが誰に向けて書かれ、どこにアピールしたいか、良く解ると思います。


と言うわけで、文章部分へ。


> 私と民主党の枝野氏は、この数年にわたり、憲法問題で相当突っ込んだ議論・講演を重ね、また、海外視察を共にしたりしている仲。
> 6月26日の法務委員会で、私が枝野氏と多少激しく渡り合ったのは、徹底的な議論をした上でないと妥協しないという、彼の性格を知っていたからでもある。


初っ端からこれです。要するに、「私と枝野議員は同じ」だと言っているわけです。ボコボコに論破されてやばい発言を多数引き出されてしまったわけですが、「負けた訳じゃないよ。だって、あの議論はポーズだけだもん」と言って逃げているわけですね。
反吐が出るほどふざけた物言いです。当たり前ですが、論敵・ライバルであることと妥協可能性は一致しません。批判の大きさに驚いて、支持の集まった相手の同志面をするような人間を、通常「卑怯者」と言います。


> また逆に、民主党案では、性欲を興奮させ、又は刺激すると認められないような男子児童の上半身裸の姿態(ジャニーズ等)が、児童ポルノとして規制対象となってしまう可能性もあった。

で、またこれです。前の記事でも言いましたが、それは与党案の問題点です。上半身裸で踊る男子児童の映像が当てはまると言うのは、あなたが言ったんです!
従って、この「問題」が、ここで言われたような文脈で話し合われることはあり得ません。民主党が審議で指摘したのは「与党案」の内容です。「民主党案でも当てはまる可能性があるよね」と言う事なら修正の可能性もあるでしょうが、「民主党案から与党案に近づけましょう。ジャニーズが入ってしまうから」などと言ったら、席を蹴られますよ。

結局、与野党の協議というのは密室ですから、バッチリ可視化されている法務委員会の審議と違い、こう言う人間が後から平気で内容を捏造できるのです。
彼が警察の人間だったと言う事を思い出しましょう。
要するに、冤罪裁判でいつも見るあの光景です。「私は取調室で被告人が自白するのを聞きました。今になって何故自白していないなどと言うのか不思議です」……
ああ、なんて素晴らしい国!


>罰則をかけるかけない以前の話として、「児童ポルノ」を持つことが良いことか、悪いことか、民主党としてもハッキリさせて欲しいという問いかけであった。
> この問いかけには、さすがの民主党も、「良いことである」とは答えられなかった。


ですから、その「児童ポルノ」の定義がおかしい・曖昧・恣意的だと、散々野党から突っ込まれたわけですが?
そして、上段後半から下段。「良いこと」でなければ「悪いこと」らしいです。素晴らしい論理のアクロバットです。
「良いこと」でないことをすると、警察がやってきてあなたを逮捕します。
ええと、どこの全体主義国家ですか?

こう言う二元論・極論も、警察関係で良く見ます。「反対するのは見られて困ることがあるからだ」と言って監視カメラを不安がる相手を黙らせ、「警察がなかったらどうなる」と綱紀粛正を迫る相手に逆ギレする。ちなみに、前者のように言っておいて取り調べ・調査の可視化に反対するのは、彼ら一流のギャグではないらしいです。

それと、またもの凄いセリフがありまして……


> 委員会などでハッキリ物を言うものだから、「自白は証拠の王者」という刑法学の格言を国会で述べただけで、刑法学には無縁のネット諸氏からは、相当叩かれているらしい(この格言は、だからこそ、自白の任意性・信用性を重視しなければならないという金言でもあるのだが。)。

叩かれたのは、そのセリフが「金言」などではなく、単なる警察の暴走を正当化する言葉だと、あなたが理解できなかったからでしょう。足利事件の直後に国民の前でこんな言葉を吐いて、相手が「刑法学に無縁」な輩だと逆ギレする時点で、全くもって「なってない」んです。

大体、自白の任意性・信用性を重視するなら、何故「捜査可視化法案」を押しやってまで、こんな無茶な法律を審議入りさせたんですか?あなたは、可視化法案の審議入りを拒否した自民党の、警察官僚出身の議員です。その出自から視聴者が何を感じるか解らないとしたら、大学院にでも入り直して、行政学の広報広聴の講座でも取ってくることをお勧めします。


> その後、7月13日に内閣不信任案が提出され、野党は、その後一切の与党との協議を拒否する姿勢に出た。
> 不信任案は、あくまで「内閣」に対するものなのに、民主党の方針は、議員立法についての修正協議もストップさせるというもので、これはこれで、大変理不尽な話だ。


理不尽なのは、もはや時間制限付きなのが誰の目にも明白な「与党」の立場を使って法案を通そうとする、あなたの頭の中身です。
少し待っていれば力関係が変わるのに、不利な状況で講和を結ぼうとする者がどこにいますか。

逆を言えば、あなたの言うような「合意」が完全に出来ていたのであれば、協議が止まる理由は無いんじゃないでしょうか?協議が止まったという一点を見ても、あなたの言う「合意」の存在は、疑わしくなるのですが?


> また、このコラムをご覧になる方々も、お互いが、このような修正協議が行われることを考えながら、6月26日の論戦を闘わせていたのだという観点から、衆議院インターネットTVを見ていただけたら幸いに思う。

そして、これが締めくくりの言葉です。
何を言っているかと言えば、「国会審議なんてプロレスだよ。密室の協議が本番なんで、あれ見て非難すんなよ。民主党とうちは仲良しなんで」と言う事です。
つまり、「俺らの反対者として民主党に投票するなんて無駄だから」と言いたいわけですね。悪質な印象操作です。


ちなみに、あちこちに書いてある「合意した」なる内容の列挙は、どれも公表されていません。
当たり前ですが、ここまで詳細に決まっていたなら、公表しない方がおかしいんですよ。法案を成立させることは、議員にとって「得点」になります。成立しないまでも合意を取り付け、「次の国会で大きく自体が動かなければ(政権交代とか)成立します」と言う宣言を出せれば、またとない得点です。

それを公表せず、マスコミへの怪しいリークだけだったと言うことは、同意の存在を疑わざるを得ない。もっと露骨に言えば、「得点」は欲しいけど公式発表をすると野党から突っ込まれるから、マスコミへのリークやコラムとでコソコソ情報操作していると言う事でしょう。


これが汚いのは、例えば枝野議員がマスコミに「合意の事実はない」と言うのが割と難しい点です。
オープンミーティングであれば支持者相手なので良いのですが、与党案に好意的なマスコミだと、「民主党は児童ポルノ問題に後ろ向き」と言う記事にされる危険性が出てきます。(保坂議員は、元々少数党の弱小候補なので、むしろニッチな層へのアピールがメインになります。失う大衆的支持基盤が、最初からないからです)

ただ、オープンミーティングで言っていることが事実なら、葉梨議員のやって居ることは完全なデマゴギーなので、枝野議員はこんな記事を出してくれているSPA!あたりを使って、反論をするべきだと思います。悪質すぎますから。


それにしても、こんなふざけた事をやる議員は、落とさないとマズイだろうと改めて思います。
このコラムの内容が虚偽であった場合は当然として、そうでなかったとしても、彼が国会での審議をどう考えているか一目瞭然です。
可視化されて国民の目の前で行われる審議など単なるポーズで、舞台裏での取引がメインと言っているわけで。

こんな人間が権力の座に居続けては、国会の空洞化も警察の暴走も抑えられる訳がありません。

ああ、それと、公表されなかった「合意」の内容をこう言う形で公開するのは、もしそれが本当に存在した場合、協議相手への裏切りだと思うのですが?この点で彼は、単に不誠実なだけでなく、取引の主体としても能力が高いとは言い難いと思うのですが、どうでしょうかね?



自白の心理学 (岩波新書)
自白の心理学 (岩波新書)

自白は証拠の王様!
それが警察にとって自戒の言葉なんかであり得ないのは、歴史を見れば一目瞭然。
この本に書いてある心理学の分析など用いなくても、単純な経済学の効用計算でも割り出せる話です。



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この記事へのコメント
ヒヤヒヤドキドキ
まったくもってそのとおりであります。
でも次の選挙はホントどこに投票すればいいのだろうか。
民主に入れても公明と連立組まれたら同じことだし、共産にしようかな?
Posted by yama at 2009年07月25日 22:39
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