2009年07月26日

大した事じゃない 国連での委員発言について

女性差別解消で国内法不備=慰安婦問題でも日本批判-国連委

この記事の

>委員からは「条約が単なる宣言とみなされ、国内法に十分組み込まれていない」と批判的意見が相次ぎ、従軍慰安婦問題での謝罪や性暴力を描写したゲーム対策を求める声も上がった。

と言う部分が話題になっています。
が、実はこれ、大した事ではありません。

また、色々ごっちゃになっているようですが、問題を分けて考える必要があります。

まず、「条約が単なる宣言とみなされ、国内法に十分組み込まれていない」と言う部分については、日本がいつもやっていることですから、言われて当然の部分です。特に、民法の差別条項については、言い訳のしようのない部分でしょう。
婚姻可能年齢の問題とか再婚禁止期間とか、いつまで放置しておくんだという感じです。

ちなみに、放置されている法律上の差別については、女性に限らず男性にとっても酷いものが多いんです。
父子家庭と母子家庭で年金の受け取りをはじめとする保護策で差別があるのなんか、典型ですね。(なお、こう言うことを言うと、母子家庭が優遇されて……という人がいますが、事実は全くの逆です。母子家庭でさえ酷いのに、父子家庭はもっと酷い目に遭わされている、そんな状況です。詳しくは「子どもの最貧国・日本」でもどうぞ)

ですから、差別解消に積極的でないという非難はその通りで、政府代表が問い詰められるのは当然でしょう。そもそもこの会合は、そう言う突っ込みを受けるための場です。



一方、後段の二つについては、

>求める声も上がった

であって、扱いとしては傍流。だいぶ話が変わってきます。
また、各委員が興味分野やロビイングで取り上げてくれと言われた問題を指摘するのは、当然の事でもあります。
これは、ロビイングを受けて我々よりの活動してくれる国会議員さんが居る事からも、非難されるべき事ではありません。

どちらかというと、これに対して政府委員がどう解答したかがポイントでしょうが、それは載っていません。


では、それぞれについて見てみましょう。

まず、従軍慰安婦の問題について。
韓国の影響、と勘ぐる人も居ますが、それよりも米国下院の決議が効いていると見るべきでしょう。ああいう風に国際的に蒸し返された以上、こう言う場にも出てくるのは、また当然のことです。
殊更に騒ぎ立てる事では無い、ごく自然な流れです。イクオリティ・ナウともまあ無関係でしょう。彼らが提出した意見書の中に、この問題は出てきません。

あと、「性奴隷ではなく公娼」と言うアレについては、当時の「国内の」管理売春制度自体が性奴隷(債務奴隷)制度って事を把握する必要が……
それがそのまま「国際的」な視線に晒された段階で、問題にならないわけがないわけで。

一方この問題については、公式声明出してる(外務省WEBページ)んですから、こう言う場で突っ込まれても「もう謝罪はしてます」と応えれば済むわけです。それが十分かどうかについては議論がありますが、とりあえず国際的な場で「誠意は見せています」と言えるだけの材料はあるわけで。
「おまえんとこの議員達が出した例の広告、どうすんねん?」と言われたら、「すんません、政府見解じゃないです。彼らの言論の自由なんで」で逃げればOKでしょう。少なくとも、単に一部の国会議員が持ち出したに過ぎない見解(これとかね!)については、そのように応じるのが国際社会の王道です。

7/28 追記
そもそも慰安婦問題については、前回の審査段階で解決を促す勧告が出てたようです
そりゃ、取り上げられないわけがないですわ。


そして、最後の一つ。
ゲームについてですが、これは不思議なことに毎日新聞読売新聞しんぶん赤旗朝日新聞news47と、いずれにも出てきません。

ちなみに、全部読んで見ることをお勧めしますよ。各社、力点の置き方や報道内容が違っていて面白いですよ。
ググってみた所、赤旗の記事がやたらとヒットします。他と違って共同・時事からの提供ではなく、直接記者を送っての署名記事。上記の中でも一番詳細です。
なおnews47には、慰安婦問題に関する政府回答が載っていますね。謝罪済である点と、アジア平和基金の活動を根拠に防戦しています。


少し話がそれましたが、とにかくゲームの話を報道しているのは時事通信だけなのです。
特に、最も詳細に報道している赤旗でも一切触れていませんし、規制派の各社も報道無し。発言があったとしても、非常に小さい扱いだったことが解ります。

さらに、赤旗のこの記事(赤旗ばかりですが、ググって出てくる=この件を継続取材してるのはあそこだけみたいです)を見ると解りますが、そもそも日本の民間代表は、税法や年金と言った非常に現実的な問題を訴えに行っています。ゲームなんて言うどうでもいい表現問題なんか、まるで相手にしていないんですよ。

7/28 追記
民間代表は慰安婦問題も取り上げてるみたいなんですが、これは民法問題とセットにした「前回勧告に対する不誠実さ」を訴える一環と言う意味合いが強そうです。少なくとも、その他問題のone of them ですし。

当たり前ですが、実際に彼女たちが苦しんでいる・優先して解決しなければならないと思っているのは、とても「リアル」なお金や生活のことです。手慰みのように、架空の表現などと言う地に足の付かないお遊びに関わる暇などありません。
この点から見ても、イクオリティ・ナウが如何に的外れな活動をしているか、わかると思います。

飢え死にしそうな人間を前に、「人はパンのみにて生くるに非ず」とか言う者は、最悪の偽善者です。


以上のように、「慰安婦」と「ゲーム」については、傍論として、それぞれ個別に取り上げられたと言う点に注目し、華麗にスルーすべきです。
もし、またぞろ規制派がこれを持ち出してきたら、上記の記事でも示して、「あの委員会は、そんな下らない事を話し合う場じゃないんだよ」と言ってやるべきでしょう。

いたずらに無関係な機関を罵倒したりせず、冷静に対処しましょう。
特に、現実的な問題に取り組んでいる(=イクオリティ・ナウのような宗教家は邪魔)な女性団体や、あまつさえ女性そのものへの攻撃だけは、本当に勘弁して下さい。

本当、今回の件は、大した内容じゃないんですから。




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