2009年07月31日

またぞろおかしな議論が… DL違法化をめぐって

「違法ダウンロードは社会正義に反さないが、権利者に悪影響」--文化庁

DL違法化はもともと無理のある論理だったため、施行後に矛盾が表面化してきます。
まずは、理念部分での混乱と、後付の説明による論理破綻。

なお、この問題については、津田大介氏が発言をほとんどしなくなってしまっています。(そりゃまあ、あれだけコケにされればもう関わりたくない、音楽産業が自殺したいなら勝手にしろ、と言う気分になるでしょう)
その一方、こちらの方などが良くフォローされてますので、参考にどうぞ。(最近のエントリーでも言及有り)


上記の記事は、文化庁長官 官房著作権課 著作物流通室長、要するに担当の官僚の談話なのですが……

まずはこれ。

>個人のダウンロード行為が社会正義に反しているということではなく、それらが積もることで権利者などに悪影響を与えているということ。

社会正義に反するものではないという認識なら、「違法」にするのは無茶でしょう。
誰かに迷惑をかける=違法、などと言う粗雑な論理で、法律を作られてはたまりません。そして、繰り返し研究結果が示すように、ダウンロード・P2Pサービスの普及と売り上げの減少に因果関係は認められないのです。(逆に、+の効果があるのではないかとの分析も多かったり)


と言うか、文章を素直に読むと、「別に悪い事じゃないけど、権利者様が困るというので違法にしました」としか読めないのですが……
そこまで露骨に利権団体のスポークスマンをやられると、困ってしまいます。


ちなみに、ダウンロードが社会正義に反しない、と言う論理に首をかしげる方も多いと思いますが、あくまでも主たる違法行為者はコピーしてアップロードする人間、と言う認識なのだと思います。
後はまあ、コピーによって「経済」的にはプラスになると言う、困った事実が念頭にあるのでしょう。

一応解説すると、コピーによって、コストほぼゼロで財が増殖する事になるので、全体(国でも世界でもいいですが)として豊かさが増し、つまり経済的にはプラスになってしまうのです。これが、やれば「被害者」が何かを失う「窃盗」との大きな違いです。
この前提が、ネットワーク内限定で考えれば共産主義最終段階が成立してしまう、と言う面白い議論に繋がるわけです。

ただまあ、あれだけの反対を押し切って違法化しておいて、「何を今更言ってやがる」と言うのが正直な所。反対派も推進派もまとめて敵に回しそうな発言は、官僚としてどうなんでしょう?


なお、記事中にあるように、これによってレコ協はじめとする音楽産業が潰したいのは、着メロ・着うたの違法サイトです。
要するに、あのガラパゴス携帯にくっついた、独占ぼったくり商売の防衛ですね。
そもそもああ言うサイトが蔓延したのは、携帯というキャリアを押さえる独占によって、ユーザーに無茶な金額・条件で劣悪な商品を売りつけていた事が根底にあるわけです。そこの反省なしに権力を導入して叩き潰しても、結局音楽そのものを聞く人間が減るだけだと思うのですが。

この辺は、アップルがiTunesで証明しちゃいましたから、いくら建前を並べられても冷ややかな視線しか送れません。適正価格でユーザーを大事にする姿勢を見せれば、金を払う方が多数派なわけで。


次。


>掲示板サイトの場合、個々のユーザーに営利目的はないものの、サイト運営者を含む中心部分には(広告収入など)営利目的が含まれている

と言う部分は、やや疑問ながら、まあいいでしょう。
ですが、だからこそ、DL違法化ではなくアップロード者を取り締まり強化を、と津田大介氏などは言い続けてきたんですよね?今更そんな話を持ち出すのは、どうかと思いますよ。って言うか、今回の話はDL違法化で、サイト運営は何の関係も無いはずです。

それより最悪なのが、以下の部分。


>また、広告の中には詐欺まがいのものやアダルトサイトなども含まれており、青少年ユーザーが2次的な被害を受ける可能性もある」(畑氏)


まず、この部分は、レコ協法務担当が話しています。ですから、これだけは言うべきでしょう。

利権団体の幹部が、青少年の二次被害とか言うな!

児童ポルノ法についてもそうでしたが、「子ども」とか「青少年」とかを錦の御旗にして、自分の利益拡張を試みるのはやめませんか?そう言うのは、最悪のプロパガンダです。
って言うか、言ってて恥ずかしくありませんか?あなた方のビジネスモデルは、無知で情報の窓口を携帯に依存せざるを得ない中高生に、馬鹿高い低音質ファイルを売りつけるという物です。そして、その体制を維持するために、大量の犯罪者を生み出す今時改正をゴリ押ししたわけです。
青少年の敵は、他ならぬあなた達です


そして何より危ないのは、その理屈が「サイトに載っている広告」に向けられている点です。
別に自分でそう言うアフィリエイト等を登録しなくても、掲示板サイトには勝手に広告が載ります。そして、ネットとの親和性と利益率の高いアダルト系や詐欺まがいは、必ず入ってきます。
つまり、掲示板やサイトを運営する上で、それは必要悪なのです。(このBLOGにしても、勝手に入る広告があるからこそ、私は無料で使えるわけです。2chだろうがgoogleだろうが構造は同じ)

よりにもよってこの部分を問題視すると言うことは、以下のような本音が透けて見えてきます。

「自前のサーバーで運営するか、有料広告を集められない奴は、ネットを使うな」

もっと言えば、

「我々の提供する優良コンテンツ・健全なページ以外は、存在するべきではない」

と言う事です。
まあ、彼らが文科省や警察庁辺りと仲良しこよしになるわけです。

勿論こう言う時、自分たちの業界がヤクザにけつ持ちしてもらってる、などと言う話は出てこないわけです。クリックしないどころか、馴れた人間なら視野に入っても認識を外して全く印象にも残らない広告などより、よっぽど問題だと思いますがね。


この辺の政策についても、政権交代によって色々流れが変わる可能性があるので、楽しみに見守りたいと思います。
まあ、一番の目玉は、法務省・警察庁を叩き潰す勢いの可視化法案でしょうけど。


著作権法
著作権法

この問題については第一人者である、中山信弘教授の基本書。マルチメディアと著作権 (岩波新書)はずっと版元品切ですし、何よりもう古いので、勉強するならこちらがお勧め。



追記:
一方、何度も取り上げている表現規制については、そのままヌルっと通ってしまいかねない危険な分野。こちらこの辺を投票行動の参考にして頂ければ幸いです。



当BLOG内のダウンロード違法化関連エントリーはこちら





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