2009年08月07日

真面目に記事を書きましょう 「高血圧の原因」というゲーム批判

テレビゲーム教育論―ママ!ジャマしないでよ勉強してるんだから
テレビゲーム教育論―ママ!ジャマしないでよ勉強してるんだから


ゲームには良い面も悪い面もありますよ。他のメディアと同じように、ね。
と言うわけで、今回はいい加減なゲーム批判記事相手のモグラ叩きです。


デトックスが必要、高血圧の原因……次々指摘されるゲームの“悪影響”(Gpara.com) 二次元至上主義さん経由。

とりあえず、この記事で指摘されているゲームの「悪影響」は二つ。
一つ目の、ゲームが暴力性を云々については、言ってる奴がこの本の作者なので、ハナから無視することにします。

ピューリッツァー賞がどうこう書いてありますが、こいつの言ってることに、エビデンスは無いですから!
二次大戦と朝鮮戦争とベトナム戦争で兵士の発砲率が顕著に上がった?

「戦況見ろ」 or 「コントロール群設定しろ」

の一言で、論文リジェクトされるレベルですよ。
実際、この人マトモな論文は発表してませんしね。

豆知識ですが、医学関連で偉そうな紹介をされている奴がいたら、名前をPubMedと言うデータベースに打ち込んでやれば、素性は即解ります。
これは、アメリカの医学系雑誌がほぼ網羅されている政府のデータベースで、そいつがどう言う論文を書いてきたかが一目瞭然になります。勿論、何も書いていないと言うことも。

と言うわけで、無視無視。
アメリカ版森昭雄みたいなゴロツキに付き合うくらいなら、ドラクエで錬金素材を拾ってます。



と言うわけで、何やら医学的に結構まともそうな二番目の記事を見てみます。ゲームは子どもを高血圧にすると言う内容ですね。掲載紙は、「JAMA/Archives journals」。アメリカの医学会誌で、これ自体は真っ当な雑誌。後述しますが、実際にはその系列の「Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine」という雑誌に掲載された論文です。

ですが、上のリンクから飛べる原文を読んで違和感が募りました。素直に読むと、後からまとめる内容と表題が矛盾しているんです。
こう言う時は、原典明記されている、元のニュースリリースに飛ぶのが一番です。

それがこちら

研究の内容は、以下のようにまとめられます。

>Sedentary activity was not significantly related to systolic blood pressure or diastolic blood pressure
>TV viewing and screen time, but not computer use, were positively associated with both systolic blood pressure and diastolic blood pressure


つまり、

1,読書等の、Sedentary(座ってやるような)活動は、血圧上昇と相関しない。
2,テレビやビデオを見たりする事とは、相関する。
3,一方、コンピュータを使う事とは相関しない。

となります。

……あれ?
どう見てもおかしいですよね。ちなみに、上記の"computer use"は、別の部分で以下のように定義されています。


>Computer use was defined as the time spent using a home computer or video game.


つまり、コンピュータやゲームをする事は血圧上昇とは相関しない=影響がない、となって、記事は根底からひっくり返ってしまうのです。

記事の内容と逆じゃないですか!


ところがところが、このニュースリリースの一行目には、何故かこう書いてあるのです。

>Sedentary behaviors such as TV viewing and "screen time" involving computer use, videos and video games appear to be associated with elevated blood pressure in children

つまり、ゲームと血圧上昇が相関する、と書いてあるのですよ。
ですが、この一行目はおかしいのです。何故なら、"Sedentary behaviors"は、研究者が"such as"以下の物以外を含めて使っている用語です。典型的には読書、と上記リンク先に書かれています。
この段階で、論文そのものが用語混乱を来している酷いものか、ニュースリリース書いた人間が変なことをしたかの、どちらかだと解るわけです。

そこでこのニュースリリースを良く読むと、さらに別に、実際の雑誌のアブストラクトへのリンクがある事に気づきました。

そのリンク先がここです。


アブストラクトですから非常に簡潔にまとまってまして、こう書いてあります。

>TV viewing and screen time, but not computer use, were positively associated with both systolic BP and diastolic BP

つまり、間違いなく、研究結果は「ゲームとコンピュータはテレビ・映画と違って血圧上昇と相関しない」という内容なのです。
これで、記事は完全に飛ばし状態になっているのが解りますね。

何が起きたかは、以下のようにまとめられます。


「Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine」に論文が載る。(これ



「JAMA/Archives journals」が、用語が混乱したニュースリリースを出す。(これ



「HealthDay」という雑誌が、原典の確認もせずに記事を書く。(これ



「Gpara.com」が、さらに原典を確認しないまま、孫引きで記事を書く。(これ) ← 今ここ!


と言う事です。
恐ろしいのが、メディアが二つも挟まっているのに、まるで原典に当たってないんですよ。
ただ、「HealthDay」については、研究者にインタビューをした形跡があるのにも関わらずあんな記事なので、解った上でわざと煽ってるんじゃないかとも取れます。

それにしても、先頃からの「性暴力ゲーム」問題にしてもそうですが、煽る側(主にメディア)は、読者が原典に確認しないと思ってやりたい放題し過ぎじゃないですか?

前にエントリーで取り上げた、ITメディアの記事も相当な物でしたが。

今や、単に文章を訳すだけならエキサイト翻訳でも意味を取るくらいはできるわけです。メディアとして役割を果たすなら、リンクを辿って原典に当たると言った、最低限のレベルも満たせないでどうするのかと思うわけです。
報道内容が正反対だったなんて、大チョンボじゃないですか。
適当にリンクを巡っただけの素人に指摘されるのを、記事に署名を入れた記者さんは、恥ずかしいと思って欲しいものです。




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