2009年09月27日

ノベルゲームという矛盾 「真剣で私に恋しなさい!」全体感想

真剣で私に恋しなさい! 初回版
真剣で私に恋しなさい!


積みゲー処理が一段落し、やっと新作に手が回るようになりました。
と言うわけで、「まじこい」こと「真剣で私に恋しなさい!」の感想です。

実は「みなとそふと」の作品は合わないことが多かったので敬遠していたのですが、各所で紹介されていた画面写真などが面白すぎて、手を出しました。

さてこのゲーム、ネタの濃厚さもさることながら、凄まじいのはそのボリューム。開始30分足らずで、男性キャラ女性キャラ各十名余りが乱れ飛ぶ有様。勿論、以後順調に増殖しますが、描き分けはきちんと為されており、混乱はありません。

ネタについては、一々取り上げるときりがありませんが、5分に一回は笑わせる覚悟の物量戦です。それでいて、オープニングムービーまでの段階で、5時間近く消費するのも相変わらず。
初っ端からして、主人公の部屋に白いヴァーチャルボーイと赤いXBOX360が並んで転がってるくらいですし。

まあ、あっちこっちにネタがベタベタ貼られていますから、細かく上げるのはやめておきます。とりあえず、例としてあげるのは一つだけ。



ですが、プレイ中ずっと笑えて、楽しめて、クリックするのが嬉しくて仕方なかったと言うことは、書いておきたいと思います。それで十分でしょう。

サブキャラを含め、キャラはみんな魅力的。男も女もです。
ただ、ひたすら小賢しいだけの上に、「僕って努力してるでしょ」「頑張って色々考えてるでしょ」オーラを画面のこちら側にまき散らしてくる主人公は、うざいだけでしたが。
何偉そうにしてんだこの小物は、と言う感想しか出て来ないのが困った所。

と言うわけで基本的に楽しかったのですが、やはり、私には決定的に合わないなあと感じる部分がありました。
それは、フォーマットの問題です。
ここのソフトは毎回、「物語」を描けていません。モラトリアムの、いつまでも浸っていたい楽しい日常を描く力は凄いのですが、そこから発展しないのです。
いつかは終わる学生の仲良しグループなので、未来の破綻、少なくとも組み替えは必然。ですが、その破綻を描くことは、楽しいシナリオを連ねる本領と矛盾してしまいます。言葉を飾れば「成長」とか「再出発」とか言えますが、結局矛盾は解消されません。。

要するに、ここのソフトは(そして、日常ギャグを売りとする同系ギャルゲー自体がそうですが)萌え四コマやドラえもんのような、止まった時を描いているのです。永遠に続く楽しい時間。変わらず続く日常……
そのため、本来的に、大きな物語を描けません。エピソードを連ねても基本的なキャラの関係が変わらないというのは、この手の話の必須条件です。そうでなければ、永遠に続く幸せな時間は崩れてしまいますから。

しかし、恋愛がメインとなるギャルゲーの場合、それは許されなくなります。
カップルの成立や、もっと露骨にはエロシーン。そう言った関係の変化がなければ、ギャルゲーとして機能しません。勿論竹熊健太郎の言う「回転寿司システム」(主人公が、回転寿司のように、エピソードごと使い捨てのヒロインを食っていく)のような手もありますが、それは永遠に続く幸せな日常や、仲間達との生活を描くことと矛盾します。

このため、場面場面は面白いにも関わらず、一本のシナリオラインを描かない、エピソードという「点」を連ねただけの、散漫な話が展開してしまいます。特に、毎日のキャラ選択など、完全に短編集状態ですし。
実際、個々のエピソードは面白いですが関連性が薄く、終盤の「恋愛」描写、つまり関係性の変化も、とってつけたような印象がぬぐえません。これは、評判の良いつよきすなんかでも、全く同じでしたね。フカヒレは最高ですが、メインのシナリオラインに全く絡まず、物語上の必然性はゼロ、みたいな。

そもそもノベルゲームはその名の通り、長編小説のフォーマットで作られます。そのため、エピソードを集積しただけの「物語でない」描写を行うには、全く向いていないのです。


つまり、まとめると、問題点は二つに集約されます。

1,ひたすら楽しい、永遠に続く日常を描くなら、「物語」は不要になる
2,「物語」を入れないなら、ノベルゲームにならない


これは、開発メーカーやジャンルの問題ではないと思うわけです。
ゲームで物語を描くため方法論だったノベルゲームで、四コマ漫画のようなとりとめのないエピソードを重ねる、物語を必要としないものを表現しようとする事に無理があるのではないかと。

となると、それこそ四コマ漫画のような、エピソードを並べて見せるだけの表現に特化した、ゲームの方法論が必要なんじゃないかと思います。

と言うわけで、感想は結局いつもと同じ。無闇に面白いのに後半は投げやりで、物語としては問題外。ネタの連続を楽しむために買うべし、と言う事になります。
あ、一応繰り返しておきますが、買う価値は十分あると認めた上での事ですからね。

後、個人的に毎回気になる、「今時古くさいではすまない攻略キャラ指定システム」が相変わらずなのは、どうかと思います。シナリオ制御方法として稚拙(自然な分岐もへったくれもない)ですし、誰のルートか一目瞭然でゲーム性も皆無。ブランドの伝統にするようなものではないと思います。
共通部分と分岐後は普通に選択肢が出、しかも一々楽しいだけに、なんでルート分岐にだけアレが採用されてるのか、本当に不思議。


個別ルートの感想は、また後日。





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