2009年09月22日

ダムの話

基本的に、自分たちの住んできた場所が水底に沈められるとなれば、多くの人間は反発する。
でも、あちこちにダムはできる。
理をもって説くか、札束で頬を張るか、強制収容で暴力を行使するか、方法は色々あるけれど、とにかく「住民の反対」を鎮圧して。
要するに、「住民の反対」と言うのは、その程度の扱いしかされてこなかった物。障害ではあるけど、GO/NOGO判定に関わる物とは見なされてこなかった。これは大前提。いいか悪いかは別として。

で、例のダム計画中止についてだけど、全く同じ事が起きる。
そりゃ、ダムができる事を前提に動いていた諸々が止まるんだから、それをもとに人生設計していた人達はたまったもんじゃない。
でもそれは、ダムが出来る何てことは夢にも思わず、父祖の土地に暮らしていた人間にダム計画が降って湧くのと、変わるものではない。「住民の反対」を金科玉条とするならば、そもそもダム計画など認可すべきではない事になる。

何が言いたいかって言うと、計画中止を理由とする「住民の反対」をあんなに取り上げて、意味はあるのかという話。

計画中止に伴う経済的不合理の話は、いくらでもすればいいと思う。それは検証可能な数字の話で、結果的に「完成させた方がはるかにマシ」と言う事になるなら、それで良いと思う。維持費の問題もあるし、一筋縄ではいかないけど、それこそ政策論争。

でも、「住民感情」を前面に出しての報道ラッシュは、どう考えても意味がない。それは、被害者遺族の事ばかり報道して視聴者を煽りまくる、犯罪報道と変わらない。結局短期的な感情論が盛り上がるだけで、検証にも報道にもならない。勿論、そう言う側面も重要なんだけど、住民というのも利害関係者の一部でしかないわけで……


後、政策転換の妥当性に関する話と、個人補償の話は分けて考えないと。
端的に言って、国には契約を破棄する権利も、政策を転換する自由もある。政権交代のある、民主主義国家だから当然。ただし、その場合、憲法にあるように、被害を受ける人には補償を行う必要がある。これは矛盾無く両立する話。なので、意図的に混同した話をされると、なんだかなあと思う。

特に、「契約相手は自民党ではなく国であって、方針変更は許せない」と言う自治体や土建屋のセリフには、残念ながら冷笑しか浮かばない。
だって、仕事や補助金を取るために日参していたのは、国ではなく「自民党の先生」方の所でしょう?政権交代のリスクを見込めなかったのなら、単に先見の明がなかっただけ。投資とはそう言うもの。「自己責任」と言うのは、その自民党が大好きだった言葉。法律に定められた違約金もらってとっとと引っ込みなさい、としか。


勿論、公共事業削減による契機への悪影響という重大な問題はあるけれど、それはここで論じるべき問題ではない。それこそ、もっと経済効率の良い事業に回せば良いだけ。また、中止になった場合行われる生活再建事業も、立派な公共事業。


9/26追記
工事経費については、こう言うのもあるみたいですね。治水効果について、国交省の資料を上げているのが興味深いです。あと、予算消化率と進捗率を故意に混同している言う指摘は、良くある話だけに、唸ってしまいました。
八ッ場ダムについて流されている情報の誤りについて
保坂元議員のBLOGでも、取り上げられてます。カトゆー家断絶さん経由)



増山たづ子 徳山村写真全記録
増山たづ子 徳山村写真全記録

素人がオートフォーカスの安物カメラで写して回ったとは思えない、凄まじいパワーを秘めた「ダムに沈む村」の記録写真集。この方は、最近亡くなりました。
反対運動が下火になり、ダムに沈むことが決定して段々と人口が減っていく村を淡々と撮影した、ただそれだけの写真集です。「ひぐらしのなくころに 礼」の「賽殺し編」の舞台、と言えば解る人には解ってもらえるでしょうか?歌だとさだまさしの「水底の町」(リンク先はyoutube)、ゲームだと「僕と、僕らの夏」など、このテーマの名作は結構多いです。やはり、大きな力に押しつぶされて故郷を失う体験というのが、強いインパクトを残すからでしょうね。





タグ :社会

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