2009年09月29日

宙のまにまに 感想

宙のまにまに Vol.1
宙のまにまに Vol.1

アニメや漫画で天文部というと、「なんかロマンチックそうな部活」として使い捨てられる、お手軽文系小道具です。

別に、それが悪いと言う事ではありません。「星の瞳のシルエット」(いつの間にか、刊行レーベルが変わってますね)なんか、大好きでしたし。

とは言え、基本的に宇宙好き的方面で期待する事もなく、このアニメもスルーしておりました。

ですが、結構よさげな評判を聞いて翻意。今回視聴してみたので、その感想を。


・第一話
冒頭、セルだったらスタッフが死ぬであろう事間違い無しの、カメラ回り込みによる星空のアピールからスタート。CGの時代になって、こう言うのがやりやすくなって、本当に良いことです。
この時点で、幼なじみのフラグが垣間見え、ニヤニヤが思わずこぼれます。
ただ、オープニングは微妙かも。いきなり惑星の縮尺が滅茶苦茶に乱舞するのは良いとして、何故か星空を見るシーンで望遠鏡が一度も出てこないのが引っかかります。

しかし、オープング開け、屋上から舞い散る金紙の星に作画の本気を見せつけられ、一気に引き込まれます。あ、これなら別に恋愛の踏み台でもいいか。
他にも、パンする本棚が無駄に遠近感を持ったCGだったり、力の入れ方が素敵です。主人公が読んでる本は、講談社文庫の……クトゥルフ神話かな?

一話は、主人公が過去の真相一発でツンからデレに変化する、必要にして十分な内容でした。ここで無理に引っ張らずに、次回の新入部員集めへ繋げるのは良いですね。本当に、安心して見ていられます。

スタッフロール、名前の横に恐らくそのスタッフの星座マークをつけるのは、アホな女性誌みたいですが、雰囲気作りに一役買っているので○。こう言う小ネタは大事です。


・第二話
主人公を想う、いかにも少女漫画のライバルキャラと言った女の子が登場。この人物は配置だと、主人公は朔ではなく美星の方ですね。
一話前半ラストで彼女が入部し、天文部は正式発足。これまで15分1サイクルで小課題を解決していく形で、非常にテンポが良いです。ネット上の評価にあったように、この飽きさせ無さと構成の堅実さは、深夜アニメではなくゴールデン向きですよね。

ところで、前話から登場していた「数少ないガジェット」の双眼鏡ですが、今回アップになってみると、VIXENの天体双眼鏡でやがりますよ。これですね。三脚入れると3万超えるので、部費としては結構ギリギリかと。
これ見て大興奮する江戸川君が実に「男の子」していて、部員キャラに不足しがちな浪漫(ロマン、ではなく)分を補っています。そして、そのロマンを呼び起こすのが美星。一方、主人公は「静寂」や「暗闇」と言う、天文のキーワードを並べながら、視聴者にアピール。「知っている夜は蛍光灯の明かりの中」と言うセリフはグッと来ます。それこそが、電気を消して星空を見上げる事の、感覚的な楽しさそのものですから…… そしてこちらには、小夜先輩がくっついて柔らかに微笑みかけるという構図。
上手い人物配置ですね。


・第三話
美星のせいで無駄に注目の的になり、部活をエスケープした主人公は、生徒会長と出会う。
まあ、天文部の活動というのはあれでかなりヘビーですので、成り行きで入ると苦労するのは当然。夜遅くまで男女の部員が一緒にいるせいで、要らぬ雑音を浴びせられたりすることもあるんでしょうね。
BLOG主は男子校だったので、天文部の連中にそう言う視線が浴びせられるのは、見たことなかったですが(笑)

それにしても、やっぱり絵が綺麗。


人物は結構適当(崩してなんぼの絵柄ですし)なんですが、背景、特に光やガラスの写り込みなんかにかなり力が入ってます。
バスが無駄にCGでグリグリ動いてたりする辺り、好きでやってる感じでしょうか。

後半はプラネタリウムに行く話で、相変わらず一話で二度美味しい構成。
最後の傘の場面でウルっと来てしまい、悩んだあげくこれを購入してしまいました。これで私の傘もプラネタリウム!

外から見ると単なるこうもり傘というのが、ポイント高いと想います。


・第四話
内容は、合宿とそれにまつわるドタバタ。
姫の逆ギレは、唐突感ばかりが先行した感じ。美星のお約束で落とすのは想定内ですが、シナリオラインとしては不要な凸凹だった気が。

この回については、天の川の描写が素晴らしかったと言うだけで、もう十分でしょう。
足元の暗闇から場面から、湖面から空へと駆け上る天の川につなぎ、ついでにヒロインの魅力をアピール。いやあ、気持ちの良いシーン繰りです。


・第五話
生徒会長の言いがかりで、天文部の活動が休止に。

ええと、真面目に訊きたいのですが、徹夜の活動後雑魚寝とか、当たり前じゃないんですか?少なくとも、大学の演劇サークルの連中なんかは、良くやってますよね?高校だと、そんなに問題になる物なんですか?
あと、生徒会長に活動休止命令権なんて無いと思うんですが。それは、許認可権を握ってる学校当局の権限ですよね。

と言うか、雑魚寝だけで何も問題が起きていないのなら、それこそ処分を下すのはマズイでしょう。処分があったという書類が残り、学校側にもダメージが出ます。

後半の文芸部を招待しての観測会は、やっぱり丁寧に考えられた内容。銀河鉄道やギリシア神話を折り込み、星空のキャンパスに物語が浮かび上がる。それは、天体観測のもう一つの側面でもあります。プラネタリウムにおける、解説のメインですしね。


・第六話
新学期が始まり、美星の知り合いが新任教師として赴任。
合宿帰りのイベントは、映像特典ですか。商売の方法として堅実ですね。……iTmsで売ってくれないかな。

さて今回は、草間先生が絡む恋愛ネタで引っ張りつつ、文化祭での入賞と部費増額を狙った活動に話の中心がシフト。やはり、目標を明確化してシナリオが作られているので、物語を見失うことなく、集中してみていられます。堅実ですよねえ。
なんか、主人公がいつの間にかモテモテになってるのは、納得できませんが。

ところで、主人公がボンヤリしながら読んでいた教科書の文章は、キング牧師の演説についてでしょうか?

この話は、主人公が今までで最悪のへたれ行動を起こした所で〆。主人公の動きを課題達成最大の問題にするパターンですが、脇役達が育ってきているので、問題は出ません。むしろ、姫の視点でもどかしさを感じるのが正しい楽しみ方になっていきそうです。


・第七話
プロローグで、草間先生の過去、美星との出会いが明かされます。最低でも8年前なので…… うん、ナイスロリコン!
前回イラストから、ジメジメした話一直線になったらどうしようかと思いましたが、主人公がきちんと反省しているので、その心配はなさそうですね。



絵は相変わらず綺麗ですが、やはり線が減ってきています。ただ、この教室内にドームを設営する時のレイアウトを説明するシーンのように。上手く(必然性をもって)CGを使っています。

そして、今回一番活躍したのは草間先生。レギュラー唯一の大人として、実に良い表情で二人にちょっかいを出してます。通報されたという過去も相まって、全力でダメな大人を演出。ただし、力点はあくまで「大人」です。さじ加減が絶妙ですね。
委員長も、年長者としてフォローに回り、なんだかんだで江戸川も出番多し。姫は…… 頑張れ!超頑張れ!!結局身を引き気味にサポーターへ横滑りし、視聴者の同情を一身に集めるポジションへ。


・第八話
文化祭本番。
がやがや感は力が入っていて、楽しく見る事が出来ました。マッスル焼きそば食べたいなあ。多分、マッスルだから肉(脂肪分)はほとんど入ってないってオチなんでしょうけど(笑)
ところでプラネタリウム、ピンホール型って、星座線の投影出来ましたっけ?色も変わってましたけど。やるとしたら、カバーを丸ごと付け替えることになりそうな。
ですが、観客の反応の書き方とか、暖かでとても良い感じです。「今晩星見てみようかな」は、プラネタリウムを見た後の感想としては、最大級の賛辞ですよね。

ただ今回、顔に投影された星が歪むところは、計算がおかしかったですね。あごから首への移動時におけるジャンプもなかったですし、それっぽく適当なエフェクトをかけただけみたいです。CGが毎回上手く使われていただけに、ここは残念。

そして、結局天体望遠鏡を手に入れ損なってがっかりした所で、部活同士の横のつながりに話をシフトし、エンディングへ。


・第九話
野木城高校が天文台まで持っているきちんとした部活なのを見ると、天体望遠鏡一つ無い蒼栄はちょっと無理がありますよね。
ちょっと気になったのは、月を見る時の映像。屈折式望遠鏡なら、月が他の画面と同じ形でなければおかしいのでは?21時に沈むなら、上弦の月ですよね?

随分望遠鏡のアップでVIXENロゴを強調すると思ったら、やっぱりスポンサーですか。
凄く正しいタイアップの形だと思います。部室に置かれていた月刊 星ナビも、アストロアーツが協力企業だったんですね。


・第十話
この作品は学園ものですが、「部活物」なので学年がバラバラ。修学旅行がイベントにできないというのは、やっぱり哀しいですね。
そう言えば、ときメモ4も同級生以外が混じってますから、その辺悲しい思いをしそう。

とか思ったら、それも映像特典か!畜生、上手い商売しやがって!(褒め言葉)

ところで、江戸川がいつも抱えている一眼レフは、生意気なことにNikonなのですが、ロゴは「Nihon」。協賛企業に、し損なったんでしょうかね。イメージ的に……と言うことなんでしょうか。

最後の観望会については、伏線が特典の回になっていて、破壊力が半減しているのが残念です。
でも、文芸部の眼鏡っ子二人は、良い味出してましたね。


・第十一話
今度は冬の合宿です。
雪山って、冬場は天候が相当アグレッシブだと思うんですが、そう言う所で観測やるものなんですか?
高見沢女子の眼鏡さんは、今時「外したら美人」と言う希少属性。ある意味、江戸川と良いコンビです。
あと、彼女たちの「共学って、そこら中カップルだらけなんでしょ?」には大爆笑。はい、私もそう言う認識でした。

晴れ間から覗いた星空は相変わらず良いのですが、九話の観測会の時と、明確な区別が欲しかった所。
あと、波動砲は、さすがにちょっと……
望遠鏡にフラッシュをくっつけて光の矢にしたのでしょうが、音を立てて伸びて行くのはあんまりじゃないかと。


・第十二話
え、部長の過去も映像特典!?
ええと、さすがに、物語上重要なパーツは、そっちに投げない方が良いのでは?第十話のときもそうでしたが、本編の展開に支障を来すのは本末転倒だと思います。

雪国の温泉、キツいですよね。入らなければ凍死、入れば火傷かというようなあの感覚。なので、私はああ言う所の温泉は嫌いです。どっちにしても体に毒としか感じられなくなるので。

一方、部長はクライマックスイベントをこなして、彼自身のエンディングへ。主人公パートの雪景色よりも、部長パートの予備校風景に冬の寒さを思い出させる、自分自身の青春が憎い!!

閑話休題、「ぐるりと星が巡ったね」でまとめるセンスが、本当に素敵です。
土星の揺らぎがやたらリアルなのは、実際の観測映像をそのまま使ったからでしょうかね。

ラストは一話の最初に戻って幕。連載途中の作品のせいか、やはり締まりは余り良くありませんが、とりあえず12話の作品としては上出来かと。


・全体
やっぱり、宇宙ネタは極めて弱いですね。出てくる名前も各星座のα星程度で、もっとこうセンスオブワンダーと言うか、宇宙魂のような物は全然無し。うんちく話も、星座がメインでいわゆる宇宙のことはなし。固有運動とか軌道面とか銀河円盤とか、簡単で面白いネタは沢山あったと思うのですが。

と言うわけで、全体的に面白かったのですが、やっぱり天文ネタは作品に昇華するのは難しいよなあ、と溜息が先に来る感じでした。

作品自体の出来は良いだけに、やっぱりモヤモヤしてしまいます。デジタルの使い方を見るに付け、天文はアニメとの相性が、決して悪くないと思うのですが。



当BLOG内の、宇宙関係記事はこちら
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タグ :アニメ宇宙

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