2009年10月28日

大本営発表「利用者の利便性を考えて、著作権法を改正しました」

政府インターネットテレビで、以下の内容番組が配信されています。

違法?合法?ダウンロードにご注意!~著作権法改正

Copy & Copyright Diaryさん経由)


私も怒りの余り液晶モニターに物理的攻撃を加えそうになったので、リンクを貼っておきます。
また、国民をなめるのもいい加減にしろ、と言うしかない内容について、以下の投稿をしておきました。


>あなた方文化庁が、権利者と結託してパブリックコメントで集まった大量の反対を無視して決定した法改正を、「みんなで話し合った結果」とは、おこがましいにもほどがあります。文字通りの大本営発表で、パブリックコメントを送らせて頂いた当方としては、反吐が出る思いです。
>また、「民事訴訟が可能となる」とはどう言うことでしょう?いつから民事訴訟の提起要件に、違法認定が必要になったのですか?
>インタビュー対象も権利団体理事だけ。行政は、利害関係者の調整が任ではなかったのですか?余りに偏った内容に、文化庁が中立的な立場などまるで考慮していないことは、良く理解できました。



文中の解説ですが、製作著作は内閣府ですが、意見内容や「関係者」は明らかに文化庁のそれ。なので、文化庁に対する批判として送っています。

また、民事訴訟(ここで言ってるのは損害賠償でしょう)に、別にDL違法化なんか必要ではありません。「ネットで掲示板に無意味な書き込みをする」事自体は犯罪ではありませんが、それによって故意に相手に損害を与えれば、損害賠償が提起されるのと同じです。
何のために、民法に「不法行為」の概念が書かれてると思ってるんですかね。(戦前の判例に依拠するなら話は別ですが……)
しらばっくれて違法化を言い立てた利権団体はともかく、文化庁の官僚は自称・法律の専門家でしょう?

本当に、全編ひどい内容なので、少なくともDL違法化反対のパブリックコメントを送った人は、意見を出すといいと思います。リンク先の番組についている投稿フォームから、簡単に送れますからね。


それにしても、DLで民事訴訟が提起できるのは当然として、(民事ですから、そもそも提起できないなんて事はありません)勝てるかどうかは相当微妙ですよ。まあ、著作権大好きの司法関係者がとんちきな判決を出す可能性はありますが、原則論から言えば無理があるんです。

どう言うことかというと、「損害賠償」には、「損害」の算定・証明が必要になります。
アップロードであれば、まだ理屈は付けられます。何人がDLしたか、と言うのでかけ算できます。「それをDLした人間が、DLしなければ買わなかったと言う証明」が本来必要ですが、これは確率論である程度処理できます。そもそも厳密な算定は不可能ですから。

もっとも、きちんと判例となる判決は未だ出ていませんので、そこは注意。大体、警告 → 訴訟 → 和解という、「裁判を脅しに使って陥落させる」方式です。

で、問題となるのは、ダウンロードの場合。
DLですから、「利益」を受けたのは被告です。アップロードとは根本的に違います。従って、裁判では、厳密に「被告が、ダウンロードしなければ、CDを購入するなどして原告に利益を与えたであろう事」を論証しなくてはなりません。

損害賠償は、与えられた損害を補填するための物で、気にくわない方法で利益を上げた相手を吊し上げるための物ではありません。

典型的には、狸を盗んだら犯罪で、当然返したり値段分の損害を賠償する義務が生じます。しかし、その盗んだ狸が、盗まれた先で子狸を産んだら、その子狸を返す必要はありません。盗んだ犯罪者は子狸と言う得をしてますが、盗まれた飼い主がそれによって損をしたわけではないからです。
勿論、損をしたら、話は別です。例えば、その狸が種付け・出産の過程で衰弱したなら、返却だけではなく、財産価値が減少した分の賠償が必要です。また、狸が繁殖用に飼われていたなら、営業利益の逸失分を請求されるでしょう。しかし、子狸を返す義務が生じることはありません。盗まれた段階で妊娠していたなら別でしょうが。


話が逸れましたが、裁判が大もめになるのは、容易に想像が付きます。
例えば、

「私は音楽なんかに最初から金を払うつもりはない。ただでなければ入手しようなどと思わない」
「買う価値があると思った物は買っている。DLした物は、ただでなければ入手したりしなかった」
「気に入った物は購入している。DLできない物は最初から購入の考慮対象外。むしろ、当該行為によって原告に利益を与えている」

と言った主張が考えられます。そして、言い逃れではなく、実際に上記のような原理で動いている人間は、珍しくありません。
そうでなくとも、違法コピーについては権利者側に都合の悪い研究がゴロゴロしてますから、普通に長期化するでしょう。負けることも、十二分に考えられます。そして、一回負けてしまえば、もはや誰も、無理に無理を重ねた権利者の牽強付会な理屈に、付き合ってはくれなくなります。(だからこそ、毎回和解で決着させているとも言えます)


だからこそ、ネット上の爆弾となり得る罰則規定を入れたくて仕方ないのでしょうが。



入門民法(全)
入門民法(全)

民法については、この辺を、図書館ででもどうぞ。
別に勉強で読む訳じゃないわけで、面白そうな所を拾い読み・斜め読みするのが、この本を楽しむコツかと。自分がどう言う社会基盤の上で生活してるか垣間見えるのが、結構面白かったりします。





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