2010年01月12日

リトルバスターズ 作品としての弱点と、クドわふたーの問題と

リトルバスターズ! Converted Edition
リトルバスターズ! Converted Edition


今回のは、ネタバレ全開です。
ただし、あくまでもリトルバスターズそのもののそれで、CE独自部分(って、そもそもあるの?)についてではありません。シリーズをクリアした事があるなら、何も問題ありません。

表題のクドわふたーに関する発表情報と、ファンの不安については、こちらが良くまとまっています。

リトルバスターズは素晴らしい作品ですが、同時に大きな弱点を抱え込んでいます。この弱点は素晴らしさと表裏一体、言わば「バグではなく仕様」で、手抜きや見落としで発生した物ではありません。(欠点ではなく弱点と書くのは、そのためです)
そして、然るべきアフターストーリーを書けば、この弱点は見事に補完できるはずでした。
どう言う事か?

まず、弱点について説明します。

あの世界は、鈴と理樹のために作られたエクササイズ&カウンセリング空間。ですから、各ヒロインの問題解決に際し、他のヒロインや男達は協力しません。ヒロイン達に至っては、ルート分岐後は存在が消えている(あるいは、恭介操るNPCと化している)可能性もあります。
これは、最後の「世界の秘密」との整合性から仕方ない、物語の「仕様」です。
しかしそれ故に、友情物語としては、決定的に描写が足りなくなってしまいます。各ヒロインの問題は、リトルバスターズの仲間「達」が解決するのが、友情物語の本道です。仲間のピンチ駆けつけられなくて、何がかけがえのない仲間か、と言う事になります。

勿論、これは設定から来る必然です。理樹はリトルバスターズの力に寄らず、「誰かを支えられる」強さを持たねばならない。それこそが、恭介達の目的だからです。ですから、繰り返しますが、これは「欠点」ではありません。
しかし、幕が閉じ、リトルバスターズ(=仲間達)最高!と言う結論が出た所で、ハタとプレーヤーは気付いてしまうのです。
「でも、5人以外のメンバー達は、助けても助けられても居ないんじゃ?」

恭介達男3人は、あの世界の立役者です。理樹と鈴を立派に鍛え上げました。
鈴と理樹は、成長しました。最後に、全員を救って見せます。
しかし、残りのヒロイン達は?

理樹や鈴がシナリオ中苦しいときに、彼女たちは何もしてくれませんでした。
また、彼女たちが苦しいとき、助けてくれたのは結局理樹だけでした。

設定の話は置いておいて、シナリオ中彼女たちは、肝心な所で、リトルバスターズの仲間達に対し、貢献をしてもされてもいないのです。

これが、リトルバスターズの弱点です。
繰り返しますが、欠点ではありません。例えば、彼女たちのピンチに理樹以外の手が差し伸べられれば、あの世界の意味がありません。エンディング後に友情強調エピソードを入れたら、それはただの蛇足です。あの物語は、あのタイミングで幕となるからこそ美しいのですから。前にも紹介した、この本で、クーンツが言っているとおりです。


しかし、これには解決策があるのです。これが、クドわふたーに対する批判となります。

あの完成した物語には、弱点を補完するパーツを入れる余裕はありません。しかし、独立したアフターストーリーが書かれるなら、どうでしょう?
虚構世界は既になく、誰かがたった一人で障害に立ち向かう理由はありません。
「俺たちは無敵だ」と恭介が言っているとおり、立ちはだかる障害を、「ガッツと勇気と、そして友情」(©小毬)で打ち破っていく話が思う存分描けます。
それこそが、リトルバスターズという物語を完結させる、素晴らしいカーテンコールとなったはずです。

ところが、発表された内容は、クドと理樹がたった二人で過ごす、ただの恋愛譚でした。
しかも、虚構世界での経験を経ていない、パラレルワールド物です!
こんな意味のない内容、勿体なすぎて涙が出ます。「車輪の国 向日葵の少女」の後日譚を思い出しますね。あれも、本編終了後の展開としては造反有理な革命話しかあり得ないはずなのに(あのディストピアな社会システムをそのままに、ヒロインと「幸せに暮らす」などと言うのはギャグにしかなりません)描けたのがとっつぁんの個人的反抗だけという、何とも情けない代物でした。いや、あのラストシーンは本当に格好良いんですが……

このリトルバスターズと言う作品、基本的な内容は素晴らしいのに、何故か商品展開がグダグダですよね。
誰が望んでいるのか解らない(ぶっちゃけ、ほとんど望んだ人は居なかったはず)エロ化。力がまるで入れられていないコンシューマ化。そして、これまたエロを前面に出し本編の補完にもならない後日譚ですらないファンディスク…… 作品性を取ったら何も残らない(褒め言葉です。一応)制作会社なのですから、あまりおかしな事はしないで貰いたい所です。
まさか、経営が傾きかかっていると言う事もないだろうと思うのですが……

クドわふたー、公式ページを見る限り宇宙ネタも結構入ってきそうで、本当なら喜びたいのです。クドの宇宙に対する思いや夢は、結局明確には語られないままでしたし。
ですが、「あの世界の経験を経ていない」「二人っきり」と言う条件が入った段階で、これはもう「リトルバスターズ」の関連作品としては意味がないわけで。
本当に、二重の意味でガッカリしています。



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