2010年01月16日

第28期東京都青少年問題協議会に関して




本題に入る前に、我々の利益に近い立場におり、「ゲーム・キャラクター・デジタルコンテンツ議員連盟」をとりまとめ、表現規制に反対してきたたるい良和議員が、民主党公認を受けられなくなりかかっています。
下記応援ページ等参照し、賛同頂けるなら民主党に要望を送って頂きたいと思います。

応援ページ

前にも書きましたが、余暇を使ってメールを送る程度しかできない我々のようなボランティアは、いくら集まっても決定的な戦力にはなり得ません。常勤で要石となってくれる議員が居なければ、(出せなければ)いつかは押し切られて終わりです。


以下、本論。


前にパブリックコメントに送った文章を公開した、東京都の例の協議会についてです。
1/14に予定通り会合が行われ、答申案が採択されました。

パブコメ集計結果答申の概要は、すでにアップされています。

大まかに言って、以下のようにまとめられるでしょう。


1,パブリックコメントとしては極めて異例な、4桁の意見が集まった
2,しかも、その9割超が反対意見だった
3,そのため、まとまった内容はかなりトーンダウンしている
4,特に、都独自の施策については、強制力のある物はほぼ消えている
5,ただし、あくまでも一旦棚上げする、と言う事でしかない


1~4について。これは、我々の明確な「勝利」です。一件反対できないお題目を並べて、自分たちの気にくわない表現を弾圧しようとした彼らの試みは、頓挫しました。要するに、波風を立たせず誰も気付かないうちに危ない条例を通そうとしていたわけで、注目が集まった段階でこうなるのは必然でしょう。
こうした動きを続けて、表現規制が「火中の栗」であるという認識が広まれば、強力な牽制になります。前回も書いたとおり、「触ると面倒な事になる問題」と認識させる事が、官僚組織には一番効くのですから。この経験は都や規制派に大きな教訓となるでしょう。

しかし、今後とも、監視を続ける必要があります。今度は、どんな口実で同じ事をしようとするか解りませんから。
この勝利はあくまでも戦術的なものであって、彼らの、都の本質は何も変わっていないと言う事を、忘れてはなりません。

それをよく示すのが、パブコメ集計結果です。
問題意識は共通していましたので、前回掲示した私のパブリックコメントの内容と、同様の意見も多かったようですね。心強い事です。しかし勿論、問題なのは協議会の反応です。


まず、右側の欄が「反対意見に関する協議会としての見解」だけなのに注目しましょう。
左側の「意見」を見れば解りますが、協議会の意見よりも遙かに過激な賛成意見も、多く送られてきています。各層の意見を反映して調整するのが目的の行政機関においては、このような意見にも反応するのが本来当然の事です。

例えば……

>iモードやメールを送受できる機種は小中学生に持たせるべきでない。
>フィルタリングよりはブラウザそのものを禁止にする方が良い。
>指導・勧告では甘すぎる。法的な制裁も検討すべき。


と言った意見です。
これらに対しては、「表現の自由を過度に制限する」「産業に与える影響に比して効果が少ない」「そのような権限は都にはない」と言った反応を書くのが本筋です。そうでなければ、「協力をお願いする」業界や規制対象となる層に対して、「あなた方の利益もちゃんと考慮しています」と言う姿勢を見せられませんから。
って言うか、一番上に至っては、「推奨制度」への「賛成」じゃないですよね?どうしたんですか?「誤解に基づく反対論」が多いとか嘆いていたのに、趣旨を完全に誤解しているこう言う意見はスルーなんですか?
しかし、そう言った記載は一切無く、反対論に対する言い訳のみ。つまりは、ここに掲げられている賛成論は、彼らが本来主張したかった意見でもある、と言う事なわけです。……まあ、この時点で色々ダメダメですよね。



さて、ここの支離滅裂な言い訳に一々突っ込むのは後回しにして、大づかみな指摘を一つ。
「強制力を持たない指導」だの「一般的な要請」が目的なら、法的強制力を持つ「条例」と言う道具を振り回すのはやめなさい。抹殺するだの表現の自由など考慮しないだの、威勢の良い言葉はどこへ行ったのですか?銃を持ち出した所を見とがめられて、弾を込めるつもりはありませんと言って取り繕えると思うなら、都民を馬鹿にしすぎです。

もっと言えば、そんな観念論・道徳論をぶちたいのなら、都の施設と都の予算を使うのはやめて頂きたい。それこそ、児童相談所の権限強化や人員増に予算を回すべきでしょう。予算不足で都の小児病院が維持できなくなる一方で、予算を使ってこういう連中の茶話会が開かれている状況の、どこが「子ども達のため」なんでしょうか?
彼らは個人的に集まって、思う存分気炎を上げれば良いと思います。飲み屋とかで。

あとはまあ、言い逃れるのが目的なので、ここの反論は酷い物。簡単に列挙していきます。


・青少年の不健全な行為に対する青少年・保護者への指導勧告

>あくまで指導勧告に留まるものであり、不利益処分に当たらない。

法律上の「不利益処分」の言葉を使った言い逃れ。行政法上の「不利益処分」は、いわゆる”行政が被害を与える行為”より遙かに意味が限定されている。
と言うか、そのために法律上の処分手続き論を採った意見を持ってきたとしか思えない。普通に考えて、家庭への介入なわけだから。


・青少年が被害に遭わないためのフィルタリングの水準に関する規定の創設等

>フィルタリングが目指すべき水準を示すための理念的な規定を想定

解りやすい後付。第7回専門部会の議事録P31の、青山青少年課長による協議会の意見まとめ参照。
「それから、フィルタリングの関係でさらに2点つけ加えておりますけれども、子どもを信頼しているからというふうな理由というのはいかがなものかということで、保護者から解除を求められても絶対に解除させないぐらいのことが必要ではないかというようなご意見。それから、保護者の意思確認の徹底につきましも、そもそも保護者本人かどうかという確認も、例えば公的証明書で確認するなど、各社で高い基準に統一するべきとか、解除の申し出を受けた場合の実効性を期すための正当な理由などを基準として定めて示すことも検討すべきというご意見もいただきました。」

フィルタリング解除方法だの、保護者の意向より優先する基準の策定だの、言いたい放題言ってますよ。フィルタリング解除の「正当な基準」を決めるって、その基準は具体的じゃないんですか?


・児童を性的対象とするメディア総論

>健全育成条例は青少年の環境の整備と健全な育成を阻害する行為の防止による青少年の健全な育成を目的としており、この目的に必要な範囲での規制を行うもの。

青少年関係ない所に規制範囲が及ぶ、と言う意見に対する物。この理屈が許されるなら、どんな事でも規制対象にできますね。「青少年の健全な育成を妨げる」と言えば良いだけですから。
「青少年の育成」を「国体」とか「革命」とか言い換えてみれば、彼らが何を言っているか解ると思います。


>協議会及び条例は青少年を健全に育成することが目的であり、性犯罪の減少はそのために必要な事項の一つではあるが、それが目的のすべてではない。

一番凄まじいのは、文句なくここでしょう。被害との因果関係が示されていない、と言う意見に対する物。性犯罪は減少しなくても良いらしいです!いっそ潔すぎて、開いた口がふさがりません。勿論、それらを禁止すると何故「青少年を健全に育成する」と言う目的が達せられるのかは、皆目わかりません。もともと青少年は購入できないはずなんですが……


・児童ポルノ関係

>処罰の対象となる行為や対象物、えん罪や濫用の危険性の防止方法を含めて国会で議論を尽くした上での犯罪化を国に求めるもの。

単純所持は危険すぎる、と言う指摘に関する物。
これは本当に凄い文章ですね。だって、「議論を尽くした上で」と言いながら、「犯罪化」する事が前提になっているんですよ。ちょっと言い換えてみましょう。
「カラスが黒いか白いかについては、議論を尽くした上で、白いという結論を出して貰うよう、国に求める」
ちなみに、上記リンク先にある答申案の文章は「国に対し、児童ポルノのいわゆる「単純所持」の処罰化を強く要望すべきである。」であり、議論を尽くして云々など、どこにも書いてありません。


・ジュニアアイドル誌関係

>答申素案においては「ジュニアアイドル誌」は「半裸又は水着の幼児又は小学生の煽情的な姿態の写真集」を指

これは、「ジュニアアイドル誌」の定義があいまい(要するに、お前らの気にくわない物って意味だろう)、と言う意見に対する反論。
「半裸または水着」と言う事は、上着を脱いだだけでも範囲に入り、「煽情的」は勿論出先機関の胸先三寸。日本語が通じないのではなく、わざと日本語をお手玉にしているだけなのは、言うまでもありません。


そろそろ疲れてきたので、最後に一点だけ、非常に重要なポイントを上げたいと思います。
なお、ここは本当に重要なので、全文引用します。


>(反対)児童ポルノと異なり、児童ポルノ漫画等には被害者がいないため人権侵害が無く、規制は違憲(憲法21条)である。

○条例の目的は青少年の健全育成であり、児童ポルノ法とは目的を異にする。現行条例でも、その内容が不健全図書指定基準に該当する図書類については創作物であるか否かにかかわらず指定の対象となっている。

○既に関係業界においても年少者への暴力的性行為や近親相姦等の表現への配慮については自主的な取組みを行っているところもある。



良く読み返して理解して下さい。三段論法です。
1,すでにある表現Aについて、自主規制している所がある
2,すでに他の表現Bについて、規制対象にしている
3,従って、AをBと同様規制対象とする


ここから解る事は、以下の二点です。

1,自主規制をしても、「自主規制をしている事」を理由に法規制される場合がある
2,違憲の疑い濃厚な規制でも、戦わなければ既成事実化され、他も「同じように」規制される


今回、書協・雑協が反対の意見を公式に出したのも、要するにいい加減規制派の本質を見抜いて危機感を持ったからでしょう。反対運動をしている人間に向かって「余計な事をするな」などと言い、尻尾を振って全面降伏したソフ倫の行動が何を意味するか、いい加減理解すべきだとおもいます。


何にせよ、去年の衆院選における自公の敗北と並んで、とりあえず大きな勝利と言えるでしょう。
ですが、前回も書いたとおり、大事なのは継続です。反対派諸氏におかれましては、実生活を維持し、できる範囲で、続けられる範囲で頑張って頂ければ幸いです。



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この記事へのコメント
何とか一矢報いた、というところでしょうか?
今年は大きな案件が多そうなので、その陰にまぎれて通されないように
注意が必要ですね。ひとまず、おつかれさまでした。
Posted by Aruzya at 2010年01月20日 22:58
そうですね。一矢報いたというか、牽制にはなったというか。
本当に「やり返した」と言えるのは、捜査可視化による警察への抑止力整備とか、表現の自由に関する立法が為された時なんですが。
民主が今それどころじゃないので、なかなか困った所です。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年01月21日 00:37
snow-windさん、外での抗議活動を検討しませんか?

北海道在住ですから、デモや集会に参加することは難しいでしょうね…

右派の活動家である水間政憲氏は自身の主催する集会に「有給を使ってでも参加してください」と呼びかけて、5000人近い人を集め、会場に入りきらないほどの大盛況だったとか。

あと、左派の運動家の話になりますが、東京都の別の条例に反対している団体があるので紹介します。

ディストピアTOKYO
http://street.chikadaigaku.net/

「わたしたちの平和に生きる権利や「表現の自由」をおびやかす、不穏で不安な「東京都安全・安心まちづくり条例」に反対しよう!」
ということで、都条例改定に反対する運動を行ない、デモや情宣活動をしてきました。前田雅英氏にも非常に批判的ですし、ネットカフェ条例に反対する動きが行われています。

こういうところに協力を呼びかけるのも一つの手かもしれません。
Posted by 一市民 at 2010年01月21日 23:49
締め切りが今日(28日)で申し訳ないんですが一応。
「児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体運用ガイドライン(案)」のパブリックコメントを募集しております。
http://www.iajapan.org/press/20100115-press.html
ガイドライン(※PDF):http://www.iajapan.org/press/20100115guide.pdf

短くても構わないと思いますので、是非お願いします。
Posted by 水色の騎士 at 2010年01月28日 00:37
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