2010年02月08日

戦場のヴァルキュリア(一作目) 感想

戦場のヴァルキュリア PLAYSTATION 3 the Best
戦場のヴァルキュリア PLAYSTATION 3 the Best



円環のパラダイムを読んでいて、絶望的なシチュエーションが楽しめるSLGがやりたくてたまらなくなりました。圧倒的な物量で迫る敵軍。後退する前線、すりつぶされる予備兵力、払底する生産力、破綻していく戦争計画、破壊されたまま復旧されないインフラ…… そんな状況下で、ほんの少しの光明を求めて、知力の限りを尽くして生き残りを目指す、そんな「ゲーム」が、です。

とは言え、今時の流行はこの対極。欧米製のSLGについては、競争相手との交渉がメインパートという点で、希望と外れます。勿論、それがゲームを手っ取り早く面白くするコツなのですけどね。
丁度桝田省治が企画を再始動させた俺屍2はよく合っていそうですが、早くても二年は先でしょう。

と言うわけで、とりあえず、面白そうなSLGと言う事で、戦場のヴァルキュリアに手を出しました。蒼色輪廻の作者さんが、BLOGで褒めてましたし。二作目に興味を持ったというのもありますが、やっぱり、一作目からやりたいじゃないですか。


でまあ、とりあえず序盤まで終わって、ほぼレベルが見えてしまいました。
いつも通り結論を先に書きますと、以下のようになります。


「システムはすごく意欲的。新しい面白さを組み込んだ、ワクワクする物が用意されている。しかし、他の要素との食い合わせが酷く、その良さをことごとくスポイルする方向に作用。後、シナリオは最低」


このゲームは、架空のヨーロッパ大陸の架空の第二次世界大戦を舞台に、ベルギーの立場に置かれた国が、ドイツに当たる国(作中の設定を見ると、露骨に帝政ロシアですが)の侵攻を跳ね返す、と言う内容になります。

戦闘システムは独特で、味方のターンで行動回数を、各キャラクターに自由に割り振れるのが特徴。(同じキャラを複数回動かすとペナルティ有り)また、各ユニットは、索敵範囲内に入った敵を自動で攻撃するため、キルゾーンを形成しての陣地戦が非常に面白い事になります。

特に、防御と火力が圧倒的な戦車の存在感は見事で、ワクワクできる事請け合いです。


以上、良い部分。


次に、特徴があるものの、価値観しだいなのでどちらとも言えない所を。

成長システムは「兵種ごと」一括で、各キャラクターへの愛着は薄くなる形。そもそも、戦場での活躍は個々のユニットの成長には一切反映されません。SRPGとしてはかなり問題がありますが、SLGとしてみた場合柔軟性に富んだシステムと言えます。

また、照準あわせが重要だったり、アクションよりのデザインもあり。これは、ヘッドショットを狙うか体の中心を狙って確実に削るかという選択にもなり、結構面白いです。まあ、戦車砲で歩兵のヘッドショットを狙うような、アホみたいな状況が起こったりもしますが…… (戦車砲が直撃しても、それだけでは敵兵が死なない事が多いため)


そして、悪い部分は、2点に集約されます。

1,シナリオが、ひどい
最初に書いたように、私は絶望的な状況であがく軍事物がやりたかったのです。そして、設定はそう言う風に書かれています。ところが、そんな深刻さは欠片もありません。
一応画面内で人は死んでいるのですが、シナリオ的な意味もなく、何より不合理だったりします。初っ端から、偵察兵が田舎町の避難民を攻撃したりしてますし。

君達、偵察に来たんじゃなかったの?見つかってるよ?ってか、弾の無駄でしょ。直後に当然のごとく守備隊に見つかって掃討されてるし、本当に……

軍事物としてみても、もう色々滅茶苦茶。
工業地帯が完全占領されて生産基盤が無くなったのに、何故ガリアは抵抗を続けられるのか?
対岸が占領されているのに、どうして砲撃の一つもないのか?
船舶も通過する大型河川が、”良く見たら戦車が渡れるくらい浅かった”って、そんなわけあるか!
敵陣の目の前で信号弾まで打ち上げて、「まだ襲撃が気づかれていない」とはどう言う事か?
そもそも、敵歩兵の目の前でハッチを開けて上半身を晒し、どうでも良いモノローグをのたまってから、やっと信号拳銃を空に向ける主人公はアホなのか?(それを黙って見てる敵兵は、もっとアレですが)
逆渡河攻撃で橋頭堡を確保しても、その後橋を上げたら、小隊が敵中に孤立するだけではないのか?

戦いの緊迫感も亡国寸前の悲壮感もなく、スポーツをやる感覚で楽勝の戦闘(後述)を繰り広げていると、脳が溶けて消えそうです。




2,面白い戦闘システムを、何故ぶち壊しにするデザインを取るのか?
前述したように、戦闘で個々のキャラクターに経験値は入りません。要は戦闘結果で決まるのですが、この算定は基本値1、撃破ボーナス0.25、そして、ターン数ボーナスが3と言うような比率になっています。
つまり、速攻で敵を全滅させる事が、何より優先されるわけです。しかも、このターン数の算定基準は非常に厳しく、序盤では1ターンクリアを決めないとSランクになりません。
これが、行動を回数を各キャラに割り振れるシステムと合わさると何が起きるか、もう言うまでもないでしょう……

そうです。「とにかく移動力の高い奴を複数回行動させ、拠点へ特攻する」です。結局、毎回の戦闘はその最適手を探すためのルート探索が全て。序盤ステージで防衛戦を構築して敵を迎撃する楽しさを見せられたプレーヤーは、唖然とする事になります。

つまり、評価システムが、「面白い遊び方をしたらボーナスはやらん」と宣言しているわけですね。セガのゲームにたまに見られる現象ですが、各パーツのすりあわせをしていないんでしょうか?
この時点で、「ゲーム」としての面白さは大幅に減殺されてしまっています。

キャラクターがアホでもシナリオがナニでも、SLGとして面白ければ我慢できるのに。そして、戦闘システム自体は間違いなく素晴らしいのに……
後期のファイアーエムブレムシリーズが、評価システムにクリアターン数至上主義を持ち込んで、システムをスポイルしていたのを思い出させます。自分たちの作ったゲームの面白さがどこにあるのか、わからなかったんでしょうか。


一方で、この戦闘システムに適合させるための問題というのも出ています。つまり、キャラクターの体格がほとんど同じなのです。要は当たり判定を揃える為なのですが、おかげで胸毛マッチョも十二歳の少女も、みんな同じような輪郭に。後者なんて、言われるまでロリキャラと気づきませんでしたよ(苦笑) 一応顔絵は幼かったですが、並んだイケメン兄ちゃんと同じ肩幅・身長ですもんねえ。

これもまた規格統一ができていないと言う問題の一側面でしょう。キャラの個性を出すのなら、体の小さいキャラは当たり判定的に有利、と割り切れば良かったのでは?他の能力値でハンデを与えれば、別に問題ないでしょう。体格が小さいから段差が上れないとか、塹壕から身を乗り出せないとか、色々やりようはあったはずです。

その他、インターフェイスの問題などは、一作目だから、と割り切る事もできます。色々言われる成長システムや開発システムも、開発の省力化として上手い方法だと思います。ですが、だからこそ、ゲーム性の根幹をおかしくする企画の不統一は、勘弁して欲しかったです。

ポテンシャルは明らかに高い物を持っているので、頑張ってクリアしたら2作目に行ってみたいと思います。まあ、なんかクリアだけなら、異常に簡単にできそうな気がしてきましたし。


あ、でも、シナリオライターは本当に他の部署に飛ばした方が良いと思いますよ。
極端な話、戦闘に至るシチュエーションさえ提示できれば良いだけの仕事で、あそこまで無駄な容量と無駄な演出を駆使して、毒にしかならないスクリプトを組まれては、誰も幸せになれません。今日び、食うに困ったライトノベル作家はゴロゴロしてるわけで、そう言う連中を買いたたいて使った方が、よっぽど「普通」の作品になると思います。


感想その2はこちら




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この記事へのコメント
FPSもやらなくて、軍事知識0の私は意外と普通に楽しめました(*´∇`*)
今は戦ヴァル2をプレイ中です。
ここで上げられたいくつかの点は改善されてるかもしれません。
ただ、軍事モノという点ではさらにかけ離れたかも(-。-;)
でも、一度プレイしてみることを私はおススメしたいです(*´∇`*)
Posted by すけふじ at 2010年02月09日 11:42
おや、それは期待できそうですね。

正直、あの評価システムさえなければ、十分楽しめるんですよ。ベスト盤に収録されていたDLコンテンツも、勝利条件が防衛で、楽しめる内容になってるみたいでしたし。

シナリオも、2は学園物とのコンパチにして、「戦争物は書けないから書かない」に転換したようにも見えますし。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年02月09日 19:51
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