2010年02月14日

戦場のヴァルキュリア(一作目) 感想その2

戦場のヴァルキュリア PLAYSTATION 3 the Best
戦場のヴァルキュリア PLAYSTATION 3 the Best


その1はこちら

システムと評価システムの齟齬に嘆息しながら続けてきた戦場のヴァルキュリアですが、後半に入るとだいぶ面白くなってきました。戦闘が数ターンに及ぶ事が不可避になると、特攻一本槍では終わらなくなってくるからです。

SLGとしてもかみ応えが出てきて、これならばトータルで見て損をしたとは思わなくなりました。まだ第16章くらいですが、中堅のSRPGとしてなかなかできが良いと思います。

ただ、もう一方の欠点であるシナリオについては、もう笑いも出なくなってきました。

とりあえず、こればかりは度し難いという点が二つあります。


一つは、戦争物として酷すぎる事。

平和な町並みと溢れる大自然の中で、サバゲーごっこをやってるようにしか見えない各ステージ。丸っきり悲壮感もなく、あまつさえプライベートビーチで海水浴、みたいな唖然とするイベントが組まれる脳天気さ。「私用」の一言で休暇(!!)を取って姿を消す小隊長。「補給線を遮断」すると言うステージがあるのに、敵が物資不足になったという描写が全くなく話が進む(と言うか、ステージをクリアしたのに補給線を寸断したという描写が一切されない)展開……
もう、途中から突っ込む気力も失せていきました。
海水浴がやりたいなら、ガンパレードマーチを見習いましょうよ。発言力をかき集め、本当にわずかな時間で軍用トラックを連ねて出かける刹那的な休暇。そして勿論それは、非常呼集がかかった瞬間に弾け飛ぶ運命の短い夢…… 見せ方・印象づけ方一つなんですから。

そもそも、大国に侵略された小国という設定や、第二次世界大戦を模した世界は必要だったのでしょうか?
小国が大国を相手にする時一番恐ろしいのは、小国の損害は埋めがたい損失になるのに対し、大国はすぐさま予備兵力を投入できるという所にあります。これは何も軍事云々の話ではなく、エンターテイメントとしても外せないポイントでしょう。「地平線を埋め尽くして迫る敵の大軍」や、「何度撃退されても津波のように押し寄せ続ける新たな敵」は、燃えるシチュエーションの王道です。

ところが、作品内の描写では、帝国軍は後方に予備兵力すら置いていません。それどころか、「ガリア国内に兵力を分散配置したせいで、主人公達に各個撃破されつつある」などと言う、信じがたい戦況報告が出てきたりします。なんで、国力比数十倍以上の帝国が、律儀に大して変わらない兵力しか派遣してきていないのですか?って言うか、とっとと本国に増援要請しましょうよ!
勿論、「連邦との戦いが佳境に入り、ガリアに回す予備兵力が不足している」とか、そう言う描写はありません。それどころか、そもそも侵攻部隊の指揮官は、帝国の帝位継承順位がかなり高い様子の皇族率いる最精鋭だったりするのですが……

この適当極まるシナリオならば、世界観は下手にリアルと関連性を持たせたりせず、サクラ大戦くらい吹っ切るのが適当だと思います。



そして、もう一つ。これは本当に許し難い上に物語の見所を全てスポイルしているのですが、「主人公に手を汚させない」こと。

何もダーティな事をやれと言うのではありません。問題は、葛藤や悩みを引き起こすべき課題について、「主人公が何もしないうちに、他の誰かが勝手にやってくれる」と言う展開ばかりだと言う事。

人物配置からして、イサラとアリシアは主人公を挟んで三角関係にならざるを得ません。主人公がアリシアを選ぶのが鉄板だとしても、主人公はイサラを振るという、苦しい決断をしなくてはならないはずです。
しかし、イサラは名前さえないモブ兵士の流れ弾に当たり、物語上の必然性もなく死亡します。主人公は、思う存分被害者として悲しんでいる事が可能になりました。

アリシアがヴァルキュリアとして目覚めるのは、祖国を守るには不可欠です。しかし、それは命を危険にさらし、さらには彼女を人間兵器としてしまう事。恋人と祖国、個人と指揮官という立場の中で、悩まなくてはなりません。
しかし、そんな事をするまでもなく、親友が勝手に暴走してアリシアをヴァルキュリアとして目覚めさせてしまいました。主人公は、何の葛藤もなく、怒りにまかせて親友を殴っていられます。

無能で尊大な貴族出身の大将は、いずれ排除しなくてはなりませんでした。軍のトップがあれでは大国相手に戦えませんし、捕虜虐待をやらかすような馬鹿(小国が国際法違反などやったら、ただちに百倍返しで国土を灰にされます)は後ろ弾なり告発なりで何とかしなくては、祖国も部下も守れません。ですがそれは、貴族と平民・正規軍と義勇軍の争いの矢面に立つ事にもなり、苦しい立場に立たされるでしょう。
しかし、なんと無能な将軍は、敵将の自爆テロに巻き込まれて勝手に死んでくれました。主人公は、アホ面下げて爆発に驚いていればOKです。


とにかく、一事が万事この調子であり、物語として全く盛り上がりません。
そして、こうやってご都合主義的展開で手を汚さずにすんだ主人公が、その立場を利用して好き放題きれい事を並べ立ててくれるせいで、はらわたが煮えくりかえります。
悩んだ末出した結論でも、葛藤の末選んだ道でもない。単に何も考えずに道徳の教科書から引き写したような空疎な言葉を並べられて、受け手が感動すると思ってるんでしょうか?「子ども騙し」と言ったら子どもに対して、あるいは子ども向けのメディアで精一杯表現を駆使して感動を演出しようとしている人々に対して、失礼になる水準の代物です。これだったら、セガガガの方が1024倍は感動できましたよ。

シナリオが弱いのはセガの伝統かもしれませんが、シリーズ化するなら少しは改善していって欲しい物です。
いやもう、やたらとムービーを駆使していて早送りできない(飛ばす事はできますが、そうすると話が分からなくなる)事と相まって、シナリオ読むのが苦痛なんです。本当に何とかしてください。



その他の戦場のヴァルキュリア関連エントリーはこちら






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この記事へのコメント
イサラが死んだときは、てっきりどこかに分岐があるのかと思いました(-。-;)
サクラ大戦の延長ぐらいな気持ちで私はプレイしてたんですが、パロディなんだかシリアスなんだか、っていう風に私は感じました(´・ω・`)
Posted by すけふじ at 2010年02月15日 10:05
私の場合、明らかにどうでも良さそうなマップだったので、クリア後にムービーを飛ばしちゃったんですよ。
で、次のシーンに行ってみたら、なんか葬式になってまして……
あそこまで伏線も感慨もなくイベントを組んでくれると、いっそ清々しいというか。

多分シリアスにする気とか無いと思うので、なんで二次大戦もどきにしたのか不思議ですよね。同じ二次大戦でも、萌え萌え二次大戦くらい吹っ切っていれば、誰も文句は言わなかったと思うんですが。
Posted by snow-windsnow-wind at 2010年02月15日 23:54
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