2010年02月16日

「人類は衰退しました」 5巻感想

人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫)
人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫)


毎回微妙に方向性を変えつつ、クオリティの高い内容を出してきている田中ロミオのめるへん(?)SF
も、ついに5巻となりました。
今回、刊行が丸一年あき、クオリティが高い物と期待したのですが、残念ながら感想は「シリーズでは一番よろしくない」になりました。

前巻も結構筆が荒れていましたが、今回はそれに輪をかけています。
まず、前半の学園時代回想シナリオ。一応寄宿舎・学生物語なのですが、いつもの軽妙洒脱は鳴りを潜め、直球ストレートの「孤立」ネタ。ユーモラスな内角高めにしようとしてビーンボールになってしまったような「危険情報」と言い、作者が心配になってきます。
一応、妖精さんやあの世界について、結構重要そうな設定が垣間見えていたりもするのですが、そんな事では覆い隠せない陰が、物語に差しています。

後半のレトロゲームネタシナリオも、読んでいて辛い物がありました。アイデアにつまって、ネタにできる材料をかき集めて無理矢理一本のシナリオにまとめたような代物で、ほとんどストーリーの体をなしていません。
おなじみ妖精アイテムも、ひねりも何もない一品で、世界観をズタズタにしています。専門用語を妖精語という形ではなくぶつけてくる辺り、やはり推敲が足りていないのでしょう。


全般的に、田中ロミオがRewriteにかかりっきりで手が回っていないのだろうな、との感が強かったです。後書きからも、自虐を交えたユーモアの上皮にヒビが入り、余裕の無さが伺えてしまっていますし。

逆に、それだけ注力しているのだから、Rewriteには期待できるのだろう、と無理矢理納得しておきたいと思います。

でも、このシリーズも大好きなだけに、このできはかなり残念。特に前半の話は、いつもの筆力で書かれていたら、きっともっと陰陽のバランスが取れた、楽しくて切ない一品に仕上がっていたのは間違いないでしょうし。




田中ロミオの現状が、こんな感じになっていないか、本当に心配です……
まあ、Key/Visual Artsだったら、「今月の資金繰りについて」は無いでしょうから、そこだけは安心ですが。



その他ライトノベル関係のエントリーはこちら





同じカテゴリー(読み物)の記事
 非常に面白い「娯楽」の理論書 『純粋娯楽創作理論 VOL.1』 感想 (2015-06-20 00:00)
 ナイストンデモ本!ダニエル・ドレクスラー『ゾンビ襲来』感想 (2013-02-16 22:00)
 最近読んだライトノベルの感想 (2013-01-30 22:00)
 胸がむかつくひどい話 『魔法少女育成計画 restart』 感想 (2013-01-18 22:00)
 良質ショートショート 『独創短編シリーズ 野﨑まど劇場』 感想 (2012-12-11 22:00)
 余りに出来の悪いSF 山田宗樹 『百年法』 感想 (2012-11-26 22:00)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。