2010年02月20日

評判通りの良作 「Steins;Gate」感想

Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)
Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)


前作に当たるCHAOS;HEAD NOAH(カオスヘッドノア)(リンク先は近日発売の廉価版)が非常にガッカリな内容だったので(当BLOGの感想はこちら)買うのをやめたSteins;Gate(シュタインズ・ゲート)ですが、評判にひかれて結局手を出しました。

そして、感想は表題のとおり。半年前の自分に、「CHAOS;HEAD NOAHなんぞやる必要は全くないから、本命を直接買いに行け!」とDメールを送りたい気分で一杯です。なお、CHAOS;HEAD NOAHとの関係は、一部世界観の共有のみ。具体的には、CHAOS;HEAD NOAHであった事件や登場人物がちょろっと言及される程度で、知らなくても全く問題ありません。


さて、この作品、表題やパッケージ裏からは想像も付きませんが、見事な時間SFです。と言っても、ハードSFほどハードではなく、タイムファンタジーほどライトではない、実に良い案配のSFゲーム。ノベルゲームというパッケージに落とすには、理想的なさじ加減になっていると思います。

シナリオは、偶然機能限定のタイムマシンを手に入れた主人公達が、時空を越えた陰謀と闘争に巻き込まれる話。こう書くと中2病丸出しですが、中2病なのは主に主人公だけなので、安心して見ていられます(笑)

具体的には、世界的な陰謀も強大な組織の暗躍、時を越えたレジスタンスの活動もあるのですが、実はそれらは背景に過ぎません。中心的な課題となるのは、「時間への干渉によって生まれる異変と、その修正に伴う悲劇」と言う、非常にシビアな問題です。

まず、時間を超える36バイトの情報によって、主人公の周辺では様々な変化が生じます。そして、ここがポイントですが、その結果、「良い事も悪い事も」生み出されていきます。結果、「悪い事」があまりに厳しいため歴史改変の無効化を狙うのが後半の展開。しかし、「悪い事」を消すための行為は同時に「良い事」を消していく事にもなり、主人公とプレーヤーは苦しみ続ける事になります。

何度でもやり直す事ができる。しかし、やり直す課程で生じた思い出や素晴らしい場面は、やり直す事で消えてしまう。
誰かを救えば誰かが傷つき、「最終的に悲劇」になった事を無くせば、「報われなかった努力」は無駄な事として切り捨てられる。その過程で、どんなに良い物が生まれようと、良い所だけを享受する事はできない……

そんな、実にシビアな等価原理が適用され、エンディングまで透徹します。ハリウッド型お気楽時間SFでもなく、予定調和の悲劇でもない、「選択」を迫るシナリオは、ノベルゲームの白眉ですね。

この手の時間SF作品が好きな人は、是非ともやって頂きたい。どのエンディングも手に入れた物と失った物の重みがのしかかる、実に味わい深い内容となっています。

もっとも、全ての悲劇を回避できるグランドエンドがあるようなのですが、これは本当に厳しいようで、他のエンディングを制覇したのに尻尾も見えてきません。
ゲーマーとしては敗北宣言になりそうですが、攻略サイトに頼るしかないかなあと思っている所です。まあ、あと2・3回は挑戦してみるつもりですが。


あ、少しだけ悪い点も。
まず、CHAOS HEAD;NOARもそうでしたが、分岐条件が無意味にややこしいです。基本的に、かかってきた電話とメールに出る/出ない、とその内容によって変化するのですが、一部を除いて効果が非常に見えにくいです。しかも、過去どれを選んだかが表示されない仕様なので、さらにややこしい事に。結局、普通に選択肢を用意してくれた方が、はるかにプレイアビリティが上がったと思います。

それと、もっと小さな事で時間線に干渉できた方が面白かったと思います。折角格好良い「数値化された世界線のズレ」を表示する機械があったりするのですから、試行錯誤をさせる意味でも細かな選択肢があって欲しかった。

あと、これは好みの問題&ネタバレなので反転しておきますが、

(以下反転)

何度やっても彼女を救えない理由は、「世界の法則」ではなく「SERNの陰謀が強大すぎるから」の方が、楽しめたと思います。「いくらあがいても届かない」と言う絶望を感じさせるためにも、今一影の薄いSERNを引き立たせる意味でも。だって、「法則的に最初から不可能」は、萎えるじゃないですか。「なんとかできるはずなのに、何度やっても敵が強すぎてどうしようもない」の方が、「あがく」事のきつさは大きいはずです。

(反転ここまで)


それにしても、キャラ個別のエンディングが、夏夢夜話型のバッドエンド扱いというのは、やっぱり上手いと思います。結局、ハッピーエンド(目的を達成したという意味において)の○○○エンドもバッドエンドも、何かを選んで何かを失ったという意味で等価なのですから。

もっとも、ある一つのエンディングだけは、どうしても納得が行かなかったのですが。

(以下反転)

ルカ子エンドだけは、明らかに天秤にかけられている物の重みが違いすぎます。
他のエンドと違い、誰かの命がかかっているわけではない。誰かの想いがかかっているわけではありません。単に、主人公が「自分の好きになった相手が男なのは困る」と言うだけの理由で、幼なじみの死も未来のディストピアも受けいれてしまうのです。そんな馬鹿な話はないでしょう。
実際問題、主人公は男だった時と外見が全く変わらないルカ子にあっさり惚れているわけで、問題は彼の心の中だけです。ルカ子のため云々はただの偽善で、要は彼が「自分は異性愛者である」と言うセリフイメージを保持するためだけに、周囲を不幸にしたのです。
あれは、あまりに許し難い。結局、主人公が「男を好きになってしまった自分」から逃げるために、多くの人を生け贄に捧げたと言う事に他なりません。

何より許せないのは、あそこで主人公は、自分は傷つかない方法を取っているのです!
死ぬのはまゆり。その責任を背負うのは改変のトリガーを引いたルカ子。ついでに、あそこで主人公は努力を辞める事で、ディストピアを解消するという鈴の思いすら「見なかった事」にして恥じない。何ですか、あれは?

一つの命と恋人を手に入れるために、全ての人間関係を失うしかなかった、フェイリスエンドの凄さは何だったのかと。

本当、あのエンディングだけは、あまりの酷さに目眩がしました。他が総じて素晴らしいだけに、あまりにあまりと言うべきでしょう。

(反転ここまで)

しかし、本当に不満点はその程度。つまり、ちょっとした設定と、エンディング一つだけです。後はずっと、ドキドキしながら読み進め、主人公と共に怒り、絶望し、悲嘆に暮れ、突きつけられる選択に息を詰まらせ、世界を渡り歩く最高の時間を過ごせました。

Nitro+は基本的に苦手だったのですが、この作品は諸手を挙げて大歓迎です。いやあ、楽しい時間を過ごさせていただきました。ゲームって、本当に素晴らしい物ですね。それでは、また。



P.S.
それにしても、オープニング(リンク先はYOUTUBE.ニコニコ動画はネタバレコメントが酷すぎるので)の、センスの良い事。
主題歌も、本当に素晴らしいですね。

「過去は離れて行き 未来は近づくの 観測者はいつか矛盾に気づく」

一度クリアしてから見ると、さらに鳥肌が立ちます。
なお主題歌は、邪魔くさいマキシシングルを買わなくても、iTunesで買えますよ。



なお、トゥルーエンド後の感想はこちら
その他、「Steins;Gate」関係のエントリーはこちら





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この記事へのコメント
記事を読ませていただきました。

文章に誤字脱字が多くとても残念な気持ちになりました。

頭が良いイメージを与えたいのならもう少し勉強したほうがいいと思います。
Posted by りちゃお at 2011年05月26日 03:15
あなたはこの作品をニトロ+のものだと思ってるんですねw
まぁ作ってるには変わりないですけどw
Posted by www at 2011年06月08日 01:12
ルカ子エンドは、ただ単に命と恋を天秤にかけてるんじゃなく、
女として生きてきた彼女の人生をかけてるものです。

目眩がしていて文章を良く読んでなかったと思われますので、もう一度プレイしてみるとまた印象が変わるんじゃないでしょうか?
Posted by ポチョムキン at 2011年06月30日 18:32
>ポチョムキン さん

それって、直前の言い訳の話ですよね?
あそこの彼のセリフって、全く心に響かないんですよ。だって、ルカ子の「女として生きてきた人生」をプレーヤーは見ていないし、そもそも男だった時とルカ子が大して変わったようにも見えないんですから。
あれで、男だった時のルカ子がもの凄い惨めだったと描写されていればともかく、別にそんな事はない。ルカ子にとって一番問題なのは男のままでは好きな人と結ばれないことで、それはオカリンが男のルカ子を受けいれればそれで済む。
そこから逃げて、とても釣り合わない諸々を犠牲に捧げてあの道を選ぶから、ルカ子の為云々は「偽善」と評さざるを得ないわけです。

良く読んでいない、と言う批判をする方は良くいらっしゃいますが、そう思うならエントリーの内容も良く読んで頂けるとありがたいです。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年06月30日 21:41
女として生きてきた人生、見てるじゃないですか。
ルカ子のDメール送った後は女の子です。男のころ嫌がってたコスプレに興味示したりしてたのは男である自分にどれだけのコンプレックスがあるか察せるものだと思います。
特にあのルート突入前はRSで思い出してるわけですから、女として振舞えていた状況に、男としてのコンプレックスを抱えて生活するってのはかなり重い心境なんじゃないでしょうか。

大切な幼馴染の命とそれを比較してどっちが大事なのか、と言われれば自分も命を優先すべきと思います。
しかし、あの時点で思い出と人を一人殺してます。
かつこのままで本当にまゆりを救えるという確証も持っていない状況で、主人公が諦観してしまうのを目眩がするほど酷いエンディングとは思えません。

主人公が傷つかないとも、ルカ子一人に背負わせたとも、かつそれを恥じてない思えませんし、そんな話の流れにはなっていません。
自分がもう一度してほしいのはそのあたりです。
この部分の感想こそ自分にとっては目眩がするほど酷かったです。

エントリー、読んではいるんですけどね。
装甲悪鬼の時のようにあなたは全部読まずとも自分で解釈して断言する癖があるようですので、また最後の部分だけ流し読みして断言してるのかと思う内容でした。
Posted by ポチョムキン at 2011年07月01日 18:38
気に入った物の場合、もの凄い勢いで脳内補完が作動して、小さな描写から色々裏読みできてしまうのは、私も経験がありますし、そう言う内容の感想も書いてますので否定はしません。
ただ、そう言う風に導き出された解釈が他人に対する説得力を持つのは、ちょっと難しいと思いますよ。結局、女になった後のルカ子の描写って、ほとんど無いわけですから。
繰り返し描写されるまゆりとの絆や、テーマ直結のSERN謹製ディストピアと比べてみれば、一目瞭然かと思います。

自分の解釈云々については、そりゃ当たり前でしょ。解釈の根拠は書いてますし、感想ってそう言う物です。責められるとしたら、事実誤認がある場合ですが、今回にせよ村正にせよ、解釈の部分ですしね。
Posted by snow-windsnow-wind at 2011年07月01日 20:36
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