2010年03月02日

ガンダムUC 第一話先行上映感想

機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 1 [Blu-ray]
機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 1 [Blu-ray]

原作小説の1巻2巻(今回の上映内容まで)を読み終わったので、映画館で見てきました。

なお、感想の前に注意点2点。
まずこのガンダムユニコーン、原作小説は文庫でお求めやすくなっていますが、文庫になっているのは1巻2巻だけ。次巻以降の出版予定は発表されておらず、恐らく映像の進行と並行させる物と思われます。続きが気になった場合、(私の事です!)3巻以降だけ別カバーで買う羽目になるので注意。

もう一点は、映画館で鑑賞すると、発売前にBLU-rayを買えると言う特典(?)がありますが、販売価格は定価。上記リンクのとおり、予約商品は3割以上値引きされているので、焦って買う必要は無いと思います。

あ、もう一点だけありました。これ、映画の日やレディースデイでも値段が変わらないので注意!!
映画の日で、他の映画が全て千円になっているのに、これだけ千二百円で、一気に見る気が失せかかりましたよ。一時間で他の映画より割高ってのは、さすがに、ねえ?

と言うわけで、内容の感想です。
原作小説は、「普段ガンダムもどきを書いてる作者がガンダムを書いたら、普段より数倍面白かった」と言う変わった代物でした。ちなみに、私はこの作者の他の作品は嫌いなので、(参考文献に「ユダヤ人と日本人」とか入ってる段階で、ねえ……?)その辺を割り引いて下さい。

そして今回のOVAですが、原作からの改変は二点にまとめられます。
「時間が無いので、設定の説明は全部省きました」
「ガンダムなので、主人公を○○病にしか見えなくしてみました」
”○○”には、精神とか厨二とか、好きな言葉をお入れ下さい。要するに、ニュータイプ的なアレです。ストレートに「クソガキ」でも可。

確かに、絶賛されているとおり、映像は素晴らしいです。冒頭のスタークジェガンの武装パージや、パイロットの操作ギミック。コロニーの景色やアクションシーン。クシャトリヤ無双(笑)の三次元機動。どれをとってももの凄い完成度です。これなら確かに、映画館で上映したくなろうという物。

一方で、主にSFがらみの設定説明が省かれているため、展開は性急かつぞんざい。オードリー(偽名)が飛び込んだ通路は何なのか、彼女の状況は何が危険だったのか、特殊部隊の解説、ロンドベルとの関係、財団とアナハイムの関係(アナハイムは財団の一部門でしかない)、可変モビルスーツがなんなのか…… 場面場面にきちんと意味と設定があるだけに、原作を読んでいないと非常に厳しいです。
例えば、ジェガンがギラズールに向けて発砲するシーンで慌てて静止しようとする僚機や、設定を知らないとアホにしか見えない、「わざわざMSのハッチを開けてランチャーを撃つ可変MS」(特殊部隊の兵員輸送用なので、機体の武装は機関砲程度しかない)など、凝っているだけに勿体ないです。重要人物のはずのロンドベル新人隊員なんて、セリフも説明も全て省かれ、ただのモブ扱い。

それと、主人公…… 厨二病と自閉症を併発したようなあの造型は、どう考えても失敗じゃないかと思うのですが。原作が、ニュータイプっぽさがほとんど無い基本的には普通の少年だった事もあり、違和感と嫌悪感が凄い事に。だって、明らかに近寄りたくない奴ですよ。
原作ではDQN気味だったミコットさんが可愛かったのは嬉しい誤算(あの髪型じゃ宇宙服着れないだろ、と言うのは触れない方向で)ですが、それだけに主人公の悪印象がまた……

その他の点については、おおむね「ガンダムの映像作品」としてチューニングするための、正しい判断かと思います。主人公とオードリーの分離→合流シーケンスをまとめたり、全員ゴルゴ13かというレベルのマンハンター無双を省いたのは、大正解でしょう。後者なんて、特殊部隊がガンダムよりタチの悪い無敵っぷりのため、力の象徴がMSで無くなってしまっている上、映像化しても古い方のエヴァ映画版前半みたいな、陰惨な内容にしかなりませんからね。
逆に、カーディアスの長広舌は、聞き手の主人公がアレな事もあって、もっと削って良かったと思います。

ですが、繰り返しますがメカニックは絶品。
贅沢を言うなら、やられ役のMS達があまりに柔らかすぎる、と言う程度でしょうか。折角損害が細かく画面上で表現されるのですから、もっと丁寧に壊れて欲しかった。やられパターンも、コクピット直撃かエンジン爆発だけですしね。武器を失って撤退したり、大破してパイロットが脱出したりと言った、多彩さが欲しかったと思います。これは、原作自体がクシャトリヤ無双なので仕方ない所ですが……
あと、ビームライフルの描写は非常に格好良いのですが、照射時間が長いため(それが格好良さの中心なのですが)ビームサーベルの存在意義が消えてますね。あのビームライフルの描写は、「馬鹿みたいに長いビームサーベル」に他ならないので。赤熱→破砕の描写とか滅茶苦茶格好良いですし、サーベルによる格闘戦も外連味たっぷりで魅せるので、どうでも良くなりますが。


とにかく、バランスの悪さが目立つ物の、基本的には非常に力の入った、できの良い作品でした。
不満の大きさは、評判を聞いて期待が大きくなりすぎたのと、映画の日不適用のショックが大きいでしょうし。

ただ、話としてはまだ始まっても居ず、ユニコーンガンダムが起動したところで終了。原作では売りの政治劇も設定自体が語られない状況で、単品で1200円払うのはちと厳しい感じです。結局の所、上映時間は1時間を切るわけで。
今後の展開にしても、小説を読んで、補完として作品を見る程度で良いかなあ、と感じました。その場合、ネット配信は高いですし、レンタル開始を待つのが正しい気がします。

なかなか、映像作品の値段設定というのは難しいですよね。






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