2010年04月19日

「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」の事

いつまでモグラ叩きを続ければいいんでしょうか……

今度は、男女共同参画基本計画です。

山口弁護士がエントリーを上げられていますが、ここに何故か児童ポルノ・表現規制を含む話が紛れ込んでいるのです。

「第3次男女共同参画基本計画策定に向けて(中間整理)」について(内閣府男女共同参画局)

ポイントは、第12分野「メディアにおける男女共同参画の推進」の52ページ。


>メディアを通じて「男女共同参画」の正しい理解を広め、固定的性別役割分担意識を解
>消させるために、メディア側も積極的な取組を行うよう働きかける。また、女性や子どもをも
>っぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアの表現は、それ自体が「人権侵害」であ
>るという観点から啓発を行うとともに、メディア側の自主規制等の対策を働きかける。


すごいです。表現「それ自体が『人権侵害』」と来ました。表現によって人権侵害が引き起こされるから問題、ではなく、表現そのものが人権侵害、です。被害の有無なんか知ったこっちゃない!と言う、力強すぎるメッセージ。ええと、本当にこれ近代民主主義国家の人権保護機関から出てきた答申ですか?

なお、担当大臣は表現の自由を重視する事で知られる福島みずほ議員であり、こんな内容の中間整理が出てくるのは、ちょっと驚きです。
ですが、これはむしろ良い方に考えましょう。実際に、福島議員が書いた本中間整理への文章を見てみましょう。


中間整理に寄せて(福島みずほ 内閣府特命担当大臣(男女共同参画))

非常に短い文章ですので、すぐ見終わると思います。そこには、メディア規制など欠片も無く、雇用や労働、出産退職・M字曲線と言った、切実な経済問題の改善を願う文章が並んでいます。つまり、いつものパターンです。(なお、←のエントリーのあと、傍論だったはずの創作物規制が勧告紛れ込み、女性差別撤廃委員会への不信が跳ね上がる事になるのですが……)
切実な経済・労働・貧困と言った「リアル」な問題を議論している場に、宗教団体や利権目当ての連中、「ゴロ」としか言いようのない弁護士が入り込み、地に足の付かない議論で場を滅茶苦茶にする。実は、上記以外の項目を見ると解るんですが、ずっと手つかずになっている性犯罪被害者のケア問題ですとか、労働問題の是正と言った、真に重要で女性の生活に直結する問題が並んでいます。

前も書きましたが、ああ言う連中は、男女平等な社会の到来なんか、望んでないんじゃないですかね?こんなふざけた内容を紛れ込ませて議論が紛糾すれば、今挙げた切実な問題まで一緒に足止めされるんですよ。女性を貧困な状態に置いておいた方が、自分たち過激派に支持が集まるとか思っていたとしても何の不思議もありません。だって、客観的に見てやってる事は、政府の利益になるからと言って経済基盤を破壊して回り、支持者もろとも貧困にたたき落とすイスラム原理主義のテロリストと一緒じゃないですか。

幸いにも、パブリックコメントが募集されています。分野別になっていますから、第12分野だけは、必ず意見を送って下さい。今回は、担当大臣、つまり行政のトップが反規制派です。東京都と違って、パブリックコメントを隠してバックレる事はできません。大臣とはこう言う時本当に強い力を持ちます。(薬害エイズの時の菅直人が典型ですね)それこそが与党の力です。折角いつまで続くか解らない非自公政権なのですから、今意見を送らなくていつ送るのかと言う事です。

なお、以下に私が送付したパブリックコメントを掲載しておきます。何かの足しにどうぞ。
それにしても、千文字は辛いですね。オーバーしないように注意しましょう。ちなみに、以下は999文字です。

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まず、
「また、女性や子どもをもっぱら性的ないしは暴力行為の対象としたメディアの表現は、それ自体が「人権侵害」であるという観点から啓発を行う」(P52)
との部分は、肯んずる事のできない内容です。

内容如何を問わず、表現「それ自体」が人権侵害と言う理屈はありえません。なんらかの「被害」が存在して、初めて人権侵害たり得ると言うのが現行法規の大原則です。その範囲を踏み越え、被害者なくとも加害者ありとするようなこの「観点」は、男女問わず国民の言論・権利に対するあからさまな侵害です。

女性や子ども、弱者を卑劣な行為の対象とするような表現・作品は古今東西数多く、価値のある物も無い物も、他の表現と等しく生み出しています。
例えば、ドストエフスキーの「罪と罰」において無残に殺害されるのは、ユダヤ人でしかも女性と言う二重の弱者です。石原慎太郎の作品で描かれるレイプ殺人や、源氏物語で描かれる未成年者の強姦も言うに及びません。

根本的問題として、女性や子どもが性的ないし暴力的行為の対象として描かれる事が、何故「それ自体」人権侵害となるのでしょうか?単に女性や子どもが不快に思ったり恐怖を感じたりすると言うだけの事であれば、人権侵害などとは言えません。

例えば私は、一部の女性団体が主張する「全ての男性は潜在的なレイプ犯である」と言った言説に著しく心を傷つけられ不快に感じます。恐らく、多くの男性も同様でしょう。しかし、だからといって、それを規制すべきでしょうか?

本中間報告では「それ自体が人権侵害」である事の根拠も、放置する事で社会に対してどのような悪影響があるかも、全く論証・検証されておりません。

行政機関が規制を行うに際して新たな「観点」を導入しようと制限するなら、その根拠を厳しく問われるのは当然ですが、本報告はそれを満たしません。

以上の理由により、この新たな観点の導入に同意する事は不可能であり、ここから導かれる施策の推進は一切容認できません。

なお、報告で言及されている女子差別撤廃委員会の特にバーチャルな表現に関する勧告は、「悪影響」の根拠が無く、それに従った施策は容認できません。むしろ、委員会の上位に位置する女子差別撤廃条約に基づいて定められた行動綱領(第4回世界女性会議)において、メディア規制については「表現の自由を侵害しない範囲で」と言う前置きがされています。この綱領にこそ、従って下さい。

以上。

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